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砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

今まで聞いた中でいちばんばかげた話

男A「もう餅はつき終わったかい」
男B「ああ、できてるよ。だがちょっと待った。これで賭けしてみねぇか。こう、お互いにばかばかしい話をしあってね、どっちかが「そんなばかばかしい話はあるもんか」と言ったほうが負け、ってのはどうだ。お前が勝ったらここにある餅の倍、俺が出して、つき代をただにしてやる。おれが勝ったら、この餅はおれがいただきだ」
 というわけで、まず男Bがでたらめな話をします。
A「うむ、面白いな」
B「なんだよ、それだけかよ。じゃお前の番だ」
A「ええと、ある夏なんだけどね、もうあちこちで水がなくなって、おれは空のところにある天の川まではしごで汲みに行ったわけさ。うまく汲めたのはいいんだけど、降りるときにはしごを踏み外して、地面にめり込んじゃったんで、もう一生懸命になっておれを掘り起こしたわけよ」
B「…ちょっと待ってくれよ。落ちたのはお前で、掘り起こすのもお前って、そんな…こともあるだろうな。で?」
A「でね、やはり水が流れないってのは変だってんで、おれが使ってる井戸の中を覗いてみるとな、流れないわけだわ、あまりにも暑かったんで井戸の水がかちんこちんに凍ってんだよな」
B「……」
A「しょうがないのでその氷を、道具がないからってんで自分の首をはずしてかち割って、ようようのことで水を汲んで家に持っていく途中、「もしもしあなた」って呼ばれたと思いねえ。「井戸のふちに首をお忘れなのはあなたじゃありませんか」って」
B「いやそんなば…場合もあるだろうな。それで?」
A「こりゃ大変だ、ってんで井戸のところに行ってみると、いたんだよな。悪いキツネが。おれの首を持ってこうとするんで、「待ちやがれこんちくしょう」とつかまえたらな、何か書きものを持ってるんだ。なんて書いてあったと思う? 「BはAに倍の餅を渡し、餅つき代はただにすること。異議は認めない」って…」
B「ええいもう我慢できねえ。そんなばかばかしい話はあるもんか」

 本日は815文字です。


(元ネタは横山銀吉「不思議なノートブック」です)