砂手紙のなりゆきブログ

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轟夕起子と上原美佐のメタな祈りと涙(黒澤明)

 黒澤明監督の、映画監督としてのキャリアは『姿三四郎』(1943年)にはじまり、その最初の撮影は村井半助の娘・小夜(轟夕起子)と姿三四郎(藤田進)が出会う場面で、横浜の浅間神社境内でおこなわれましたが、この時轟夕起子は「黒澤さんの初監督映画、どうかいいものになりますように」と、神社にお祈りをするとき思っていたそうです。
 また、『隠し砦の三悪人』(1958年)では、雪姫役の上原美佐は、自分の身代わりになった妹のことを思って涙を流す場面がどうしてもうまく撮れなかったんですが、日が暮れかかって、「私のせいでスタッフのみなさんが帰れない」と思ったら、急に涙が出てきてうまくいきました。
 しかしそんなの、映画見ているときには知らなくてもいい無駄知識であります。
 映画の中の人は本当は何を考えているか、なんて、映像を見ていてもわからない。というより、わかったら困る。
 轟夕起子は、父親の武運を祈る娘に見え、上原美佐は、妹と家臣のことで涙を流す姫のように見えます。

 本日は426文字です。