第一次戦後派の小説を読むときに留意しておかなければならない3つのこと(戦後文学を読む)
戦後文学の代表作を、現代の作家が読みなおして果たして面白いのか、というと、面白いものもある(テーマに納得できるものがある)らしいのが、奥泉光&群像編集部・編『戦後文学を読む』(2016年、講談社)の作家とその周辺の人たちの結論のようであります。
題材として取り上げられている作家は、野間宏・武田泰淳・椎名麟三・梅崎春生・大岡昇平・石原吉郎・藤枝静男・小島信夫・大江健三郎の9人。語っている人たちは、奥泉光(1956年生まれ)をレギュラーとして他ふたりの計3人による合評。高橋源一郎(1951年生まれ)が冒頭で奥泉光と対談してるけど、だいたいは現役時代を知らない人たちが話してる。まあ戦後昭和歌謡を今聞いてびっくりしているような感じですかね。
第一次戦後派というのは、終戦後1~2年にデビューした人たちで、取り上げられているはじめの4人がそんな感じです。
この時代を理解するためには、以下のことを知識として知っておく必要があるのです。
1・結婚適齢期の男子が女子より少なかった
2・きょうだいがやたら多かった
3・女子の就職先はろくなところがなかった(結婚できない女性は水商売をやる)
そのため、その時代の小説の中の登場人物(男性)はだいたい妙なモテかたをしている気がします。
本日は533文字です。