マイ特集をしてみたくなるような本(円山町瀬戸際日誌)
内藤篤『円山町瀬戸際日誌』(2015年、羽鳥書店)は、2006年に東京・渋谷の円山町で、今となっては回顧されるような存在でしかなくなった名画座(シネマヴェーラ渋谷)をはじめた弁護士兼館主の人による記録です。
名画座で映画を見たのは、どうも21世紀になってからはさっぱり記憶がなくて、映画館で映画を見ることの一番の利点は、映画に集中できることと、欠点は何を見たのか書いておかないとたちどころに忘れることです。
この本の巻末には、かつて特集上映をされた映画のリストが10年分みっしり入っていて、実はそれは映画館の公式サイトの「過去上映作品」というところでも見る(拾う)ことができて、あれこれ素晴らしいのです。
見る側としては楽しめればいいんだろうけど、経営する側としては客の入りとかフィルムの入手とか状態とかが気になるわけで、そこらへんの話がけっこう面白いのでした。
しかし、名画座の主要客層って、もはや金のない学生(高校生・大学生)じゃないですよね。いくら映画好きでも、3週間で18~24本の特集映画を全部見られるとは思えない。金もそれなりにかかるし。
2016年4月23日~5月20日の特集は清水宏なんで、一度ぐらい行ってみますかね。『簪(かんざし)』(1941年)と『有りがたうさん』(1936年)については、ぼくもブログで書きました。
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