砂手紙のなりゆきブログ

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再帰的話法(リカーシブ・トーク)とテレビ中継

 2016年4月中旬、九州地方の熊本で大きな地震がありました。まず、被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
 テレビ中継の際に、枠内で物語がさらに展開する、物語内物語になることは、災害情報などに関してはよくあることで、これを再帰的話法と言います。
 例を挙げますと、
『加藤(仮)「それでは今回の地震につきまして、現地から中継していただきます。山本(仮)さん、聞こえますか」
山本(仮)「はい、こちら山本(仮)です。ではまず、地震が起きた当時の、社内の様子を録画でご覧ください」
(動画が流れる)
山本(仮)「その後こちらでは(以下略)」
加藤(仮)「どうもありがとうございます、山本(仮)さん」』
 と、A→B→C→B→Aと、話が繋がるようにできています。
 これは、共通する物語があるので、物語の構成がしっかりしています。
 しかし、Cの動画が流れている最中に、Aのほうに地震が来ると、
『加藤(仮)「放送中のところ大変申し訳ありません、山本(仮)さん、こちらにも大きな地震が来まして、大変揺れております。うわあもうこれは大きい」
山本(仮)「どうしました、加藤(仮)さん…はい、それではこのモニターに写っております加藤(仮)さんのほうの、これは生中継です…と言ってる間にこちらのほうも…」』
 と、少しややこしいことになります。
 この再帰的話法は、物語を共用していない人同士でも可能なので、さらにややこしくできます。電話での会話とかですね。
A(男)とB(恋人)「何言ってんだよ、愛してるに決まってるじゃないか。誕生日のプレゼントは…ちょっと待って、ほかから電話が入ったようだ」
A(男)とC(弁護士)「ああ先生、離婚訴訟の日取りなんですが、なんとかならないですかね。その日はどうも予定が入っちゃってて…ちょっとすみません、別の電話があって…」
A(男)とD(使い走り)「だから言っただろ、今のCEOは次の取締役会で解任、次はトランプ氏(仮)だ。忘れるなよ、ボケ、カス」
A(男)とC(弁護士)「だからその日は無理だって言ってんだろ、ちゃんと調整しろよ、この無能」
A(男)とB(恋人)「だから誕生日も忘れてないし、プレゼントはダイヤの指輪。たかがセフレのくせに…ああっ、ごめん、今のなし!」

 というような話を、明日(4月23日)昼ごろぐらいから、『ゲーデルエッシャー、バッハ』読書会の「第2回「無伴奏アキレスのためのソナタ」でやるようであります。
 興味のあるかたはぜひご参加ください。

参考リンク:

「ゲーデル、エッシャー、バッハ」読書会 | Doorkeeper