自転車で片道40分かけて本を借りに行く(探偵小説の論理学)
天気がいいので、ビーチボーイズを聞きながら、サイクリングロードと山坂を通って、片道40分かけて図書館まで本を借りに行きました。
借りた本は『探偵小説の論理学』(小森健太朗、2007年)。本格推理小説とラッセル論理学に興味がある人にはおすすめ。
ゲーデルに関しては、思ったほどには書いてなかった。しかしこの本でも柄谷行人によるゲーデルの不完全性定理の誤読本(隠喩としての建築)指摘されてるな。あれに関しては当人も「比喩みたいなもんだから」って言ってるみたいだし。『定本 柄谷行人集〈2〉隠喩としての建築』については、アマゾンでものすごく熱く語ってるレビューテキストがあるんで、まあそちらを見てください。ゲーデル的脱構築なんて酢豆腐みたいなものもあるのか。
ざっくり読んだだけなんで、それには往復の時間よりもかからなかった。
面白いのは「偽の手がかり」に関しての、エラリー・クイーンの悩み、つまり「本当の犯人なら、こんな手がかりを残しているわけがない」という問題ですね。犯人かどうかわからないものを犯人と決めるためのもの(手がかりとか証拠とかアリバイとか)が本物かどうかわからない。もうそうなると、探偵も犯人も被害者も本物なのかどうかわからない。
本格推理小説では、それはそういうきまりになってるから、という、高校の校則レベルで処理されるし、実際の法廷で「どう見ても容疑者は犯人に見える証拠を残しているから犯人じゃない」なんて弁護したら、頭のおかしい弁護士にしか思われない。
なお、バートランド・ラッセルも大変な推理小説好きとして有名で、そうなるともうラッセル論理学のほうが推理小説の影響を受けているとしか思えなくなる。