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砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

slowlyを「ゆっくりと」以外にどう訳せばいいのか(女王陛下のユリシーズ号)

 冒険小説の古典的名作であるアリステア・マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』(1955年)は、1967年に村上博基によって翻訳され、原文の冒頭、

『Slowly, deliberately, Starr crushed out the butt of his cigarette. 』

というのは、以下のように訳されました。

『おもむろに、もったいぶって、スターは煙草をもみ消した。』

 こう訳すためには、以下の行為が必要です。
1・原文をざっと、粗筋を知るために読む
2・原文をしっかり、翻訳をするために読む
3・登場する人名・固有名詞を確認し、キャラの性格や専門用語をメモする
4・作者のほかの作品も読む
5・英和辞典と英英辞典のほかに、国語辞典と漢和辞典を用意する

 日本語ができない人間に翻訳はできないので、普段から柴田錬三郎みたいに無駄に文章がうまい(彼は慶応大学の文学部支那文学科を戦前に卒業しているので、漢文の素養がさり気なくあるのです)人を何人か読んで文体と語彙を頭の中につめて、その頭で翻訳対象の作家が日本人だったらどう書いたか考えながら翻訳する。
 翻訳小説がお好きなかたは、すでにご存知だと思いますが、翻訳家・山岡洋一氏が2011年8月に逝去されるまで続けていた「翻訳通信」ってサイトはおすすめです(今回のネタもそこから拾いました)。