砂手紙のなりゆきブログ

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クック・ロビンはなぜ殺されたのかに関する萩尾望都の想像

 萩尾望都は『一瞬と永遠と』(2016年、朝日文庫。2011年6月に幻戯書房から出たものを再構成したもの)収録のエッセイ「クック・ロビンは一体何をしでかしたんだ」(初出は谷川俊太郎訳詩『マザーグースのうた』四・付録、1976年、草思社)で、以下のようなことを書いています。P77-78

『「クック・ロビンが殺される。もちろんスパロウのしわざなのだ。スパロウとロビンはライバルだった。愛に悲しむ白いハトは、はじめロビンの結婚相手で、これがスパロウにねがえった。殺人を目撃したハエは、スパロウの家来だった。皿に血をとる魚は刑事だが、これもスパロウにまるめこまれる。牧師のカラスも一枚かんでる。お葬式が始まるが、ベニヒワもニワトリも、誰も何も知って知らぬふりをしている。ということは、大きな財産問題か、名誉の問題がからんでいるのだ。そうしてしんしんと、秘密の重さの分、深く掘られた穴の中、クック・ロビンは埋葬される。あとには鐘が鳴るばかり。そしてみんなで泣くばかり。もちろん、みんな本当に彼の死を悲しんでいる。でも殺人を後悔していない。クック・ロビンはいいやつだった。だが死ななければならなかった。そういうことも世の中にはあるのだ」。私は空想から覚めた。「そんなに多くの鳥たちに殺されなければならなかったなんて、クック・ロビンてやつは一体何をしでかしたんだ?」』

 ぼくの想像では、クック・ロビンは漫画家で、魚は編集者。殺されたのは原稿料の値上げの交渉に失敗したから。
 そこらへんに関しては、「文庫版によせて」のあとがきに書いてあります。