砂手紙のなりゆきブログ

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ひとりロミオ貫一とジュリエットお宮

 これの元ネタは笑福亭仁鶴が「くしゃみ講釈」の中で語った寄席演芸の芸です。
 そもそもは『金色夜叉』のお宮と貫一を、ひとりの芸人が顔を半分ずつに塗り分けて、こっち向いたらお宮で、反対向いたら貫一をやる、という、誰の迷惑にもならない芸(仁鶴・談)だそうであります。
 それに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』その他を混ぜてみる。

ヴェローナの町を散歩する、ロミオとジュリエットの二人連れ♪」ぎやぎや(バイオリン)
     *
ジュリエットお宮「ああ貫一さん、どうしてあなたは貫一さんなの。どうかその名を捨てて」
ロミオ貫一「伯爵夫人の名に目がくらみ、明日パリス伯爵と結婚するとは。よ、よくも僕を裏切ってくれたな」
ジュリエットお宮「お許しください貫一さん」
ロミオ貫一「えい離せ」
ジュリエットお宮「貫一さん」
ロミオ貫一「えい離せ」
 と、これをひとりでやる。松の木をはさんで、右と左でやってるんだけど、そのうちどっちがどっちかわからなくなって、
ロミオ貫一「貫一さん」
ジュリエットお宮「えい離せ」
 みたいな感じになる。これはネタですね。
ロミオ貫一「来年の今月今夜のこの月を、僕の涙で曇らせてみせる」
ジュリエットお宮「不実な月などに誓うのはやめて」
ロミオ貫一「月は晴れても心は暗闇だ」
ジュリエットお宮「別れろ切れろはバージンのときに言う言葉。今の私には、いっそ死ねと…言ってください」
 と、泣き伏せるジュリエットお宮。
ロミオ貫一「止めて下さるなお宮殿。落ちぶれ果てても貫一は武士じゃ、男の散りぎわだけは知って居り申す。行かねばならぬそこをどいて下され、行かねばならぬのだ」
ジュリエットお宮「離しませぬ」
ロミオ貫一「えい離せ」
 とかやってるうちに松の木が倒れて、向かって右から左に退場しようとするロミオ貫一だけど、途中で向きを替えてジュリエットお宮になって、後ろ向きでムーンウォーク(前に進んでいるように見えながら後ろに進む例のあれ)で引っ込む。

 これは、今書いている小説で使います。

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