砂手紙のなりゆきブログ

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信頼できない語り手が一人いる物語は、物語の中のすべての人物が信頼できない

 アガサ・クリスティーアクロイド殺し』のメタ構造はさまざまな発展の可能性を生みました。
 クリスティーがその小説の中でやったことは、「信頼できない語り手」をひとり設定したことです。
 でも、それだったら当然、なんでひとりだけという設定でいいのか、という話になる。
 要するに、信頼できない語り手は、作中に複数いてもいい。
 その手法は、すでに芥川龍之介が「藪の中」(1922年)で採用していました。
 ウィキペディアでは「複数の視点から同一の事象を描く内的多元焦点化」と書かれています。
 この手法で驚いたのは、小松左京「HAPPY BIRTHDAY TO……」というSF短編です。
 Aがaのつもりで言ってることが、Bにはbに聞こえる、という勘違い現象は、アンジャッシュ系と言います。