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砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

ジョン・フォードと黒澤明監督のいいところは、役者のリアクションをちゃんと撮っているところ(黄色いリボン)

 1980年代の、MTV世代の監督が映画を撮りはじめるようになってから、映画は映像的につまらなくなったと思います。
 ミュージック・クリップって、役者(というかまあ、パフォーマー)のアクションを撮るのが主で、そういうのばっかり撮ってるとリアクションなんてどうでもいい、みたいな感じになるのかな、とか思う。
 リアクションにこだわりすぎた役者の演技(アクターズ・スタジオ系のメソッド演技法)は、マリリン・モンローを筆頭にいろいろな人間を病に追い込みましたが、映画監督の演出としてのリアクションの重視(話している人ではなく、話されている人を対象に映画を撮る技法)も生んで、映像の美しさと演出のうまさと話のつまらなさがアメリカン・ニューシネマの素晴らしい特徴です。
 ジョン・フォードジョン・ウェインについて、大林宣彦は『いつか見た映画館』(2016年、七つ森書館)という上下巻の素晴らしく厚くて熱くて面白い映画紹介本の、映画『黄色いリボン』(1949年)に関連して、以下のようなことを言っています。上巻のP146。

ジョン・ウェインの演技って、実はそのころのハリウッドスターのアクション演技ではないんです。リアクション演技を彼は試みていたんですね。「俺はこうだ」、というアクションではなく、「あなたがそうならば、私はこう応える」。これが実は現代の映画の中に生きている、若い人たちが盛んに求める演技のあり方なんです。
 そうするとほら、ジョン・ウェインは実はこの昔の映画のなかで、極めて現代的な演技を先取りしていたとも言える。
 自らの意志でアクション(演技)するシアター派の名優ヘンリー・フォンダが、のちにフォードの演出とぶつかって喧嘩となり、遂には生涯フォードと袂を別かったのと対照的に、生涯フォードに寄り添って名演を残すと共に、フォード芸術の醸造に大いに寄与したウェインの功績は、その相手に正直に反応する「リアクション」の故であったのだろうと、いまにして僕らは納得するのですね。』

 さて、あなたの感想はいかがでしょう。
 もう何回も見ているはずの『黄色いリボン』その他のジョン・ウェインの映画、ジョン・フォードの映画をまた見たくなった?
 大林宣彦の『いつか見た映画館』を読みたくなった?
 この『いつか見た映画館』というのは、昔の映画に関するとことん面白い映画紹介で、こんなに面白い映画の本なんて最近は出会ったことなかったぐらい。