砂手紙のなりゆきブログ

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壁抜け撮影法に意味はあるのかどうか(ロック・ミー・ハムレット!)

 三谷幸喜和田誠の、映画に関するていねいな対談本『これもまた別の話』(1999年、キネマ旬報社)の中で、ふたりは映画『カサブランカ』(1942年)のあるショットについて言及しています。p363-364

三谷「リックが事務所に入って来るところ、ワンカットで撮ってますよね。あれは、カメラが壁をすり抜けてるのか、そういう作りの家なのかがよく分からなかったんですけど」
和田「人物がドアを抜けて部屋に入る。こちらから撮ってるから当然人物は壁の向こうに見えなくなるはずなんだけど、カメラが移動するとそのまま部屋に入っちゃう。セットじゃなきゃできない。昔よくあったやり方です」
三谷「今はあまり見ないですね、こういうの」
和田「僕は「麻雀放浪記」で一回やりましたよ」
三谷「どういう効果があるんですか」
和田「……特にないんだけど(笑)」

 確かに気がつかなかったけれど、昔はそういう映画あった気がするなあ。
 最近だと、『ロック・ミー・ハムレット!』(2008年)で使われてました。
 演劇の練習する場を奪われたダメ先生とその生徒が、体育館を利用するときに、カメラが先生の動きにあわせて外から入口の壁を通って、建物の中に入るの。
 でもそのあと、先生は体育館は使用禁止だ、ってことで鍵をかけられちゃって入れなくなるんだよね。
 だったら、カメラが通ったところを使って入れよ、と思うんだけど、これはコメディ映画ではあってもマルクス兄弟的ナンセンス・メタ映画ではないので、そんなことはしない。