砂手紙のなりゆきブログ

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ペンティメント(リリアン・ヘルマン)

『ペンティメント』はアメリカの女性作家リリアン・ヘルマンによる小説で、日本では『ジュリア』という映画公開に合わせて、映画と同じ邦題で1978年に翻訳されました(パシフィカ)。そのあと早川書房の文庫にもなってます。
 映画に言及する形で、映画評論家の山田宏一は、和田誠との対談『たかが映画じゃないか』(1978年)の中で、この語について以下のように、脚注引用の形で紹介しています。

『カンヴァスに描かれた絵の古い絵具が年月のたつうちに透明になってくることがある。すると、絵によっては一番はじめに描かれた線が見えてくる。女のドレスの下から樹が姿を現わし、子供の姿の向こうに犬が居り、一隻の大きな船が浮かんでいるのは、もはや大海原の上ではない。この現象はペンティメントと呼ばれる。描いた人間がもとの絵を「後悔」し、心変わりしたということである。言い換えれば、昔抱いた考えは、後に変わることがあっても、また姿を現わし、再び現われてくるものだと言えるかもしれない。』(リリアン・ヘルマン「ジュリア」中尾千鶴訳・パシフィカ)

 早川書房のほうは大石千鶴訳になっていますが、同じ人です。
 日本語にすると、逆・思い出補正?