砂手紙のなりゆきブログ

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「鼠と竜のゲーム」(コードウェイナー・スミス)の邦題ってなんかおかしくない?

 カルト的なSF作家であるコードウェイナー・スミスの「鼠と竜のゲーム」(The Game of Rat and Dragon)は、1955年に発表された短編です。
 未来の宇宙飛行士は、宇宙空間で「竜」と認識できる謎の怪物に襲われて、発狂して死んでしまいます。
 ところが、人とは違って猫は、その存在を「鼠」と認識して、狩りの獲物にすることができるので、人は宇宙船に猫を乗せて安全な航海(航宇宙)をすることができるようになりました。
 まあ要約すればそんな感じなんだけど、頭のおかしい人と猫が好きなコードウェイナー・スミスらしい作品です。
 でもねえ、ちょっと邦題が誤解されそうな訳なんだよね。
 だって、「鼠」と「竜」が「ゲーム」するわけじゃないのよ、この話。
 で、「ゲーム」という語に「狩りの獲物」という意味があるのを、ギャビン・ライアル『もっとも危険なゲーム』ってので知りまして。
 その長編の中では「危険なゲーム」をするわけじゃなくて、人間を狩りの獲物として扱う、要するに「もっとも危険なゲーム=人間」というのがタイトルの意味です。
 だから、「ザ・ゲーム・オブ・ラット・アンド・ドラゴン」ってのはこういう意味なんじゃないかなあ。

「鼠で竜な獲物」

 なおこの短編は、日本では著作権保護期間終了しているので、誰が翻訳してもいいらしいのです。
 要するに、誰か別の訳とかやってみませんか。