砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

頭の切れてる映像について

 映画のフィルムの縦横比は、蓮實重彦によると馬の全身がうまいこと収まるサイズになっているんだそうです(スタンダードサイズだと「横縦比が1.375:1または1.33:1の画面サイズ」とのこと)。
 今はまたちょっとあれこれ違うんですが、いずれにしても横に長いので、縦に長い人物の顔(アップ)は、実はうまいことそのサイズにおさまらないんですね。対話してるとさらにだめ、その対話が男女だとか大人対子供のように身長差があるともっと難しい。
 しょうがないのでカメラマンは、一般的には頭の上を切らないよう(スクリーンの外になるようには撮らないで)、極力がんばります。がんばってもナマモノなのでしょっちゅう切れる。1960年代までの映画はだいたいそうなってます。
 1970年代になってからややこしくなったのは、意図的に、つまりワザと頭が切れる映像を作るようになってる気がするんですよね。でもっていらいらいらいらする。このカットは意図的な演出なのか撮影者あるいは役者側の判断ミスなのか、って考えて深読みしてしまうわけね。
 アニメの場合は、それはもう意図的にそうしてるに決まってますよね。たとえば『新世紀エヴァンゲリオン』の中で、シンジくんやゲンドウの頭がいくら、何度もフレームに収まらなくても、あー、これはアニメーターの演出だってわかるでしょ。
 なお、今の横長の映画のフレームが一番適しているのは自動車の走る場面です。要するにワイルド・スピードのシリーズは素晴らしい。役者は動いている自動車の中での演技は一切していないそうなんですが、そんなことはどうでもいい。
 だけどねえ、車から降りて誰かと話し始めるでしょ、そうするともう、いらいらいらいらいらいら……。

あまり更新してないと広告が載るみたいなので更新します

 まあ、ざっくりとした生存宣言みたいなものです。
 ちょっとした事故みたいな件で入院してました。
 退院はなんとかスペシャル系のゴールデンウィーク前を目標にしています。
 人にうつるとか、脳にダメージを受けるとか、すぐに死ぬとかいう病気ではないんですが、いろいろできないことが増えました。

「鼠と竜のゲーム」(コードウェイナー・スミス)の邦題ってなんかおかしくない?

 カルト的なSF作家であるコードウェイナー・スミスの「鼠と竜のゲーム」(The Game of Rat and Dragon)は、1955年に発表された短編です。
 未来の宇宙飛行士は、宇宙空間で「竜」と認識できる謎の怪物に襲われて、発狂して死んでしまいます。
 ところが、人とは違って猫は、その存在を「鼠」と認識して、狩りの獲物にすることができるので、人は宇宙船に猫を乗せて安全な航海(航宇宙)をすることができるようになりました。
 まあ要約すればそんな感じなんだけど、頭のおかしい人と猫が好きなコードウェイナー・スミスらしい作品です。
 でもねえ、ちょっと邦題が誤解されそうな訳なんだよね。
 だって、「鼠」と「竜」が「ゲーム」するわけじゃないのよ、この話。
 で、「ゲーム」という語に「狩りの獲物」という意味があるのを、ギャビン・ライアル『もっとも危険なゲーム』ってので知りまして。
 その長編の中では「危険なゲーム」をするわけじゃなくて、人間を狩りの獲物として扱う、要するに「もっとも危険なゲーム=人間」というのがタイトルの意味です。
 だから、「ザ・ゲーム・オブ・ラット・アンド・ドラゴン」ってのはこういう意味なんじゃないかなあ。

「鼠で竜な獲物」

 なおこの短編は、日本では著作権保護期間終了しているので、誰が翻訳してもいいらしいのです。
 要するに、誰か別の訳とかやってみませんか。

否定形を否定形で訳さない(I don't think...)

 こういう英文があります。

 

I don't think so.

 

 これは普通に訳せば、

 

「私はそうは思わない」

 この訳しかたで女子高生でも大学生でも、翻訳家でも問題ない。ただねえ、「ドント」と最初のほうに否定が入る場合、「○○ない」と日本語の最後のほうに否定を入れるのは、なんか違う気がするんだよね。
 つまり、それはこう訳すと英語に近くなる気がする。

 

「違うと思う」

 

 だから、今日のブログ記事の、正しい見出しはこういうこと。

【否定形を肯定形で訳す】

 これ、うまくやるとかなりプロっぽく見えるのよね。
 別の例を挙げると、

 

It's not important.

 

 これは普通に訳せば、

 

「重要じゃない」

 

 プロっぽく訳すと、

 

「ちっぽけなこと」

 

 どこがうまい具合になってるかというと、「インポータント」の「ポ」と、「ちっぽけ」の「ぽ」の音が合ってる!

「物」が「人」に「○○させる」って表現、どうなの?

 こういう英文があります。

The hammering anoyed her.

 これは、普通に訳すとこうなります。

「ハンマーの音が彼女をいらいらさせた」

 こういう風に英文和訳すれば問題ない。
 早稲田でも東大でも、オックスフォード大でも入れる(まあ外国には英文和訳の試験問題はないとは思うけど)。
 でもねえ、なんか納得しない、というか、落ち着かないんですよ。
 もう一度和訳を見ます。

「ハンマーの音が彼女をいらいらさせた」
「ハンマーの音が彼女をいらいらさせた」
「ハンマーの音が彼女をいらいらさせた」

 念のために3回コピペしてみました。
 つまりどうして落ち着かないかというと、「物」が「人」に「○○させる」って表現は、本来の日本語には多分ない気がするんですよ。
 今の季節にふさわしい和歌を例に挙げてみます。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる(藤原敏行古今和歌集

「おどろかれぬる」ってのは「ハッとする(気づく)」って意味ね。
 つまり後半は、現代語だとこうなるわけ。

「風の音にハッとした」

 いいですか。

「風の音にハッとした」
「風の音にハッとした」
「風の音にハッとした」

 つまり、「物」に「人」が「○○する」というのが普通なわけ。
「風の音にハッとさせられた」という現代語訳したら、古文の先生は「かれぬるの解釈違ってる」って言う気がする。「れ」は「自発の助動詞「る」の連用形「れ」」だから、「自然と~される」「~しないではいられない」やん。ただ、ネットで検索しても平気で「ハッとさせられた」としているテキスト見つかるのよね。
 でもって、だから最初の英文は、多分こうすると日本語っぽい。

「ハンマーの音に彼女はいらいらした」

 まあ、「彼女は」はなくても、文脈がしっかりしていれば通じますよね。

「ハンマーの音にいらいらした」

 これは「いらつかせるハンマーの音だった」のほうが、日本語的にはいいんだろうけど(自分が日本語のテキストで書くんだったら多分そう書きます)、英文は「ハンマー」ではじまるから、日本語にするときもそうしたい。

photo opportunityという語について

 どうも、英語を日本語にする際に、英語っぽいものを混ぜてみると、今の日本語的にはうまく行きそうな気がするんです。まあ昔の英語だと駄目ですけどね。
 で、photo opportunityという単語(二語による名詞)について。
 普通に考えると、

「写真の機会(好機)」

 だけど、まあ、opportunityは「チャンス」でも問題ない。
 つまりこの語は、

「シャッター・チャンス」

 !!!!!
 ビックリマークが5つ並んでしまったよ。

copyという語について

 5か月ほど顔を出しませんでしたが、またぼちぼちはじめます。
 何をしてたかというと、ライトノベルを読んで、翻訳の勉強して、物語を書いてました。
 物語を書くのはブログテキスト以上に適当でいいんだけど、なんか横文字を縦文字にするスキルって面倒なんやね。要するに、英語が読めるってだけなら、あれはもう全部ひらがなで書いてあるようなもんだから、頑張らなくても適当になんとかなるわけよ。一番簡単で安価なのは、キンドルで拾った、ほぼタダの本をトークバックで聞いてればいい。ひと月ぐらいすると、意味わかんなくても、まあいいか、って気分になるんで、まあパルプマガジンアーカイブとか覗くと、SFも含めていろいろあるから、スマホでは読みにくいんでタブレットとか使って読めないことはない。面白いかどうかは別にして。日本人が書いた50年前のSFだって、面白いかどうかは別の問題ですからね。
 でも、日本語にできるかというと、そんなことはない。つまり、いくら英語を読んでも多分無理なんだな。
 しょうがないので、翻訳テキストと英文テキストを並べて読むわけですが、ものすごく勉強してるな、って気にはなるんだけど、本を読んでる、って気には全然ならない。首をひねるというか、首をかしげるのが多いのよね。
 そんなのからネタ拾って見ようかな、とか思う。
 で、copy、という単語について。
 辞書には「複写」「複写する」とかそれに類似した名刺・動詞しか、ざっくり調べると出てない。
 実際には、エージェント(秘密諜報員)がこっそり忍び込むときに、ロック解除してくれる役の人と、無線連絡の状況を確かめあうときに使います。
 つまり、

Copy.

 とあったら、

「感度良好」「了解」

 と訳す。

Do you copy?

 だったら、

「聞こえるか」「応答しろ」

 と訳す。
 もともとは無線業界(ってのあるのかね)から来た用語らしいです。
 これは比較的簡単な例。