砂手紙のなりゆきブログ

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落語の中で芸をやる(古今亭志ん朝)

 古今亭志ん朝の「寝床」で納得いかないのは、旦那の下手くそな芸(義太夫)をちゃんとやってくれないところです。
 落語「寝床」というのはご存知の通り、義太夫の好きな旦那が店の者や貸している長屋の者を無理やり集めて聞かせる、という話で、アニメ業界では手塚治虫のアニメを宮﨑駿がそう評したことで有名です。
 義太夫というのは浄瑠璃読みから派生した芸で、まぁ長唄・常磐津・清元といろいろありまして、これに関してウィキペディアで拾ってきたウンチクだけでも今日のブログは目いっぱい書けるんですが、そこらへんは省略して、「寝床」、ぼくがCDで聞いた古今亭志ん朝のラストの部分はこうなっていました。旦那と小僧との会話。
「何がそんなに悲しかった? 佐倉宗五郎の子別れか? 先代萩飯焚き場か?」
 …なんで旦那、歌わない(読まない)んですかね? 他の落語家では、ヘタはヘタなりにちゃんと義太夫を語るバージョンもあります。
 ただ、ここで義太夫をするためには、
・ちゃんと義太夫を聞く
・師匠にうまくなるまで習う(まぁそこまでしなくても、だいたいどんなものなのかはやってみる)
・ヘタに演じる
 という手順が必要で、第一段階でもう挫折してしまう。
 落語「らくだ」でかんかんのう歌わなかったり(あるいは適当に歌ったり)、「くしゃみ講釈」でパタパタの芸を適当にやる、ってのはまぁいいんですよ。そんなのもう古典芸能としては滅びてるんで適当でも。講釈師はちゃんと講談の一部語って欲しいんだけれど、それもサボってる落語家がいたりするんだよな。
 で、古今亭志ん朝、小唄ぐらいは歌えるんですよ。「愛宕山」では太鼓持ちが「スチャラカチャンたらスチャラカチャン」と歌って、山に登って息切れしてくるんですが、これが面白いの何の。実際に歌いながら山登りしてみたんだろうなぁ。
 とりあえず古今亭志ん朝で面白いのは、「唐茄子屋政談」の吉原を遠くに見ながら唐茄子売りの練習するところと、「刀屋」で人殺すために刀買いに来た人に説教するところとかありますね。しかしどうも三遊亭圓生の悪いところ引き継いでるような気がする。
 とにかく落語家その他役者の人は何でも体験しといたほうがいいですよね。酒飲めない人でも、酔っ払わないと酔っ払いの話はできないし、船を漕ぐのもお灸をすえる(すえられる)のも、借金も博打も女郎買いも、生活に無理のない範囲で体験しておいたほうがいいと思いました。あと、剣術だけじゃなくて他の芸もちゃんと習う。特に日本の古典芸能。
 やっぱアニメ『マクロスF』のアルトが踊れないみたいに、話の中に特殊技能のある人が出てきても、ちゃんと描けないとかあるんで、アニメの人も体験するといいですね。高校の授業参観(ってあるのかなぁ)とか、自衛隊の基地祭で戦車に乗る(乗せてくれるんですかね)とか、殺人現場を見るとか。