映画『パッチギ!』で納得いかないところ(女体の神秘)
井筒和幸監督の映画『パッチギ!』(2004年)は、京都の朝鮮学校に通う女子高生と、ごく普通の音楽好き日本人男子高校生が恋愛をする話で、1968年の春~秋を舞台にしています。要するにアニメ『坂道のアポロン』の2年ぐらい後の時代。
男子高校生の名前が松山康介で、朝鮮学校で「イムジン河」の演奏を聞く、ってエピソードはなんか丸っきり松山猛の話いただいてますね。
どうも最近作られた昔を舞台にした映画とか、昔作られた当時の今を舞台にした映画とかごっちゃに見てて頭の中がややこしくなって来ます。大島渚の『帰ってきたヨッパライ』(1968年)もちょっと前に見た。
この話の中では映画館が2つ出て来ます。一つは場所不明なんですけど、『猿の惑星』(1968年4月公開)の看板がかかっています。
もう一つは、調べてみたらかなり有名だった京都八千代館(2007年12月閉館)で、ここでかかっている看板が、
・上映中『女体の神秘』(1968年3月公開)
・次週上映『太平洋の地獄』(1968年12月公開)
・近日上映『バーバレラ』(1968年10月公開)
というのはちょっと納得いかない。
ざっくり調べてみると、『卒業』(1968年6月公開)か、『エンドレス・サマー』(1968年8月公開)あたりのほうがいいかも。どちらも長谷川町蔵さん推薦です。
そんなことより納得いかないのは、学生運動で集まってる人たちです。
「我々は、昨日の大衆会見において、総長大学当局に対する幻想を打ち破られた!」
大衆会見→全学学生集会。合いの手が「そや!」はないだろ。「ナンセンス!」だろ。
「すなわち、当局の公理と我々の公理とは決定的に異質なものであるということ!」
合いの手が「そうです!」…? 違うだろ! 「異議なし!」だろ。
看板の描き文字も一応その時代のものを模してるけど、全共闘のリアルを知らない世代のものですかね。まぁぼくもドキュメンタリーとかでしか知らないですが。
井筒和幸監督は1952年生まれなんで、多分よく知ってる世代だと思います。
関連記事: