右からくる座頭市と左からくる眠狂四郎(正義と悪)
座頭市はめくらの居合い斬りの達人で、眠狂四郎は円月殺法という剣の達人です。座頭市の時代設定は天保年間(1830年代)で、眠狂四郎は文政年間(1820年代)です。どちらも三隅研次という監督のすばらしい映像美が堪能できる作品があるシリーズです。
ただ、座頭市は敵を画面の左に、自分を右に置いて股を開き、眠狂四郎は敵を画面の右に、自分を左に置いて画面の奥のほうで円月殺法を見せる例が多いようです。
屋外ロケは光源がどうしても限定されてしまうので、この原則にはあまりしたがっていない例もあるんですが、映画作法的には「右は前方、左は奥」という決まりでもあるんですかね。セット撮影の場合はだいたい、眠狂四郎は画面の「左から右」に斬りかかっていきます。
本来は画面の左は「やられ役ポジション」なんですが、眠狂四郎の場合は「邪悪さ」の象徴みたいな気になってきます。
座頭市は「左から右」にうごくショットなどは、むしろわりとキャラの「平凡さ」(そんなに強くない、ただの按摩)を象徴してるみたいな気がします。
それが、右のほうから出てくる(「右から左」にうごく)と「市だ、市がきた!」って、ヤクザの連中は最初っから逃げ腰です。
怪獣(ガメラとかゴジラとか)かよ、座頭市。