砂手紙のなりゆきブログ

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山川方夫と村上春樹

 夭逝した作家・山川方夫のエッセイ集『目的をもたない意志』(清流出版、2011年)の巻末で、高崎俊夫は次のように述べています。

山川方夫はそのあまりに悲劇的な早逝ゆえに、いまだに伝説のマイナー・ポエットとし一部の熱狂的なファンを擁するが、私は、かつて村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』という短編集が刊行された時に、山川方夫の再来ではないかと思ったことがある。
 今では想像し難いかもしれないが、初期の村上春樹には透明で乾いた抒情的なマイナー作家のイメージが漂っていたのである。アドレッセンスの翳りを硬質で抽象的な言葉によって浮かび上がらせる独特の繊細な文体も、ふたりの親和性を強く感じさせた。』

 山川方夫は慶応大学仏文科を卒業したあと、1954年に第三次『三田文学』の編集人となり、1950年代後半から何度か芥川賞直木賞の候補になりながらも1965年2月にトラックに轢かれて死にました。享年34。
 ミステリ好きには雑誌「ヒッチコックマガジン」に1962年に連載され、のちに単行本化された『親しい友人たち』で有名です。文学業界における小林信彦中原弓彦)の数少ない友人・知人です。
 ぼくなんかは、筒井康隆の初期短編に似てるなぁ、とか思いながら読んだのだった。
 小説作品は、出版芸術社から出ているショート・ショート集『歪んだ窓』が比較的入手が容易のようです。