砂手紙のなりゆきブログ

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映画『サリヴァンの旅』(1941年)の笑いどころ

 プレストン・スタージェス監督作品の映画『サリヴァンの旅』(1941年)は、喜劇映画監督として成功したジョン・L・サリヴァンが、社会派映画を作りたいと思ってハリウッドを飛び出し社会の勉強をするというある種メタ設定になっている映画ですが(冒頭の映画は、岡本喜八『大学の山賊たち』(1960年)のように映画内映画として出てきます)、さまざまなとんでもない生活を経験したあげく彼は、人々がつらい世の中に求めているのは笑いだ、とディズニーのアニメを見て笑っている人たちの仲間になって原点回帰します。この映画の中で映画スターを目指すヒロイン(映画の中では「ア・ガール」としか出てきません)は、貧しい身なりでコーヒーを頼む主人公にハムエッグをおごり、「お礼だったらルビッチ・プロダクションあての紹介状をちょうだい」と言います。
 エルンスト・ルビッチはこの映画の(多分)製作中に自分のプロダクションを持ち、最初の作品は『淑女超特急』(1941年)でした。
 そんなことより、サリヴァン監督の映画を見てケチをつけるプロデューサーの一人(葉巻をくわえている小さいほう)がどう見ても当時のルビッチにしか見えないのが困ります。

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 冒頭の会話に出てくる「ホパロング・キャシディの映画(はヒットした)」とか「キーストン・チェイス」とか、なんとなく言ってることはわかるんだけど、調べるのが面倒くさいし、今見るにはどうしたらいいのかわからない。YouTubeのどこかにきっとあるだろう。
 あと、「セシル・B・デミルが使ったトレーラー・トラック」というのも出てきますが、これは多分日本だと「黒澤組」で通じるようなギャグなんだろうな。
 映画『サリヴァンの旅』のヒロインであるヴェロニカ・レイクは本当にきれいで、この後ルネ・クレール監督の『奥様は魔女』(1943)というスクリューボール・コメディにも出演しますが(製作はプレストン・スタージェス)、フィルム・ノワール系の映画作品『ガラスの鍵』『拳銃貸します』のほうでむしろ有名かもしれないです。