砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

西部劇映画その他と偽の記憶

 1930年代前半のハリウッドにおいては、西部劇(ウエスタン)というのは次第に衰亡していったジャンルでした。ギャング映画がフィルム・ノワールに変わったように、西部劇も1940年代を中心に流れを変えることになりますが、みんなが知っている「ホース・オペラとしての西部劇」もしくは家族で楽しめる西部劇は『駅馬車』(1938年)にはじまり、延々と作られ続けて、1950年代には日本でもそんなに時間差のない形で公開されるようになりました。といってもだいたい1年ぐらいのずれはあります。
 資料見てたら『真昼の決闘』だけ1952年の7月にアメリカ公開したのを9月に日本公開してる。
 しかしその手の新・西部劇も1950年代にはめっきり衰えてるんですが、今生きてる人で西部劇にはまった人はだいたいこのあたりの映画若いときに見ているので、映画史的に語られることはあんまりないんじゃないかな。あるとしたら「日本の文化にハリウッド映画が与えた影響史」というものでしかないはず。
 しかし西部劇とかミュージカルはまだいいほうで、結局フィルム・ノワールスクリューボール・コメディに関しては、ビデオで昔の作品が比較的容易に鑑賞できるようになった1980年代までは、鑑賞して語るのも大変だったんじゃないかな。
 ビデオ時代になる前の名作の映画鑑賞方法というのは、テレビで見るか名画座で見るかしか(多分)ないってのがすごいな。そんな時代でも映画評論家はいたと思うけど、新作映画かテレビ放映映画の評論家しかいなかったのか。
 映画もSFも、アメリカにおいては1940年代が全盛期だったと思うんだけれど、SFはなかなかそういうの体系的に紹介する人いないですね。ちなみに外せない作家はジャック・ウィリアムスンとヴァン・ヴォクトだと思う。