砂手紙のなりゆきブログ

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あまり役に立たないMARC(機械可読目録)の歴史

 本をどのように整理し、利用者が使いやすいようにするか、に関しては、書籍分類法みたいなものが昔からあって、図書館の中の人がめいめいのルールで自分の図書館の中の本だけは使いやすくなるように、手書きのカードみたいなものを作っていた時代が100年ぐらい続きました。カード目録 (card catalog) の時代です。
 昔の図書館の人は、それを秘儀のように覚えて、カードを作って、本を並べてましたが、コンピュータで本を総合管理するようになってからOnline Public Access Catalog=OPAC=図書目録や、MAchine-Readable Cataloging=MARC=機械可読目録ということになって、日本のあらゆる図書館は業者が作るOPACのデータを自分の図書館用に使ったり、国会図書館OPACNDL-OPAC)を利用したりするようになりました。OPACとMARCの違いってよく知らないんでうまく説明できないけど、前者は図書を利用する際に覚えなければならないことで、後者は図書データを記述する際に覚えなければならないことですかね。しかし図書データをいちいち作るなんてめんどうなこと、図書館の人は普通しないと思う。しているのは国会図書館の人ぐらいなもんだからまぁ、日本に数十人ですかねえ。ミステリー小説の翻訳者と同じぐらいの数(適当)。でもメタデータ記法ってなんか見てるとやみつきになりそうなんで困る。ダブリン・コアで再定義された70のエレメントとか、MARCフォーマットのフィールド識別子とか、覚える必要はまったくありません。
 MARCというのは米国の議会図書館(LC)によって開発されたフォーマットで、1968年には「LC/MARC」として磁気テープで配布されました。1983年には「US/MARC」となり、1999年にはカナダの「CAN/MARC」と統合されて「MARC21」になり、2004年には英国も「UK/MARC」から移行しました。日本では1981年より国会図書館が「JAPAN/MARC」を配布しており、業者のものとしては「TRC/MARC」が著名です。
 メタデータ記述言語RDFを図書に適用させ、エレメント設定をしたものには、ダブリン・コア・イニシアチブ(DCMI)によって提唱され、2003年にISO15836(国際標準)となったダブリン・コアと、MARC21の改良型として開発されたMARCXMLがありますが、どちらにも長所・短所があるため、いいとこどりをしたMODS(Metadata Object Description Schema)がLCによって開発され、2010年4月にヴァージョン3.4が公開されました。
 しかしこんな歴史、別に覚えても何の意味もない点においては、日本の総理大臣の歴史を覚えても意味がないのとほぼ同じです。今の総理大臣が何を考えているかのほうが普通大事だと思う。