民話「三人めくら」(コンピエニュの三人めくら)
昭和45年3月25日発行、『カラー版名作全集少年少女世界の文学第12巻・フランス編1』に入ってました。同時収録は『ああ無情』『岩窟王』『みみずく党』(省略版)。ユゴー、デュマ、バルザックに挟まって民話。文は井上明子という人。出版社は小学館。面白いので要約して記述します。引用部分は『 』で表記します。
『むかし、フランスのコンピエニュという町に、三人のめくらが住んでいました。』
天気がいいので遠出をすることにしたら、いたずら好きのおぼうさんが「お前たちに金貨を一枚やる」と嘘ついて何もあげませんでした。
三人は、誰かが金を持ってるだろうと思って宿屋でたらふく食べてベッドで眠ります。
そのとなりには嘘つきぼうずも宿を取りました。
翌朝の請求は、銀貨で10枚。金貨なのでお釣りが欲しいと言う三人。でもだれもお金を持ってない。
宿屋の主人は怒ります。
『「うーむ。このこじきめくらども、さっさと払わなきゃ、ろうやにぶちこんでしまうぞ」』
にやにやしながら見ていたぼうさんは、この宿屋の親父もからかってやろうと、自分の分も含めて銀貨で15枚払ってやるから、あとについてきてくれ、友だちがいる寺に行こう、と言います。とは言ってもぼうさんも一文なし。
お寺のおぼうさん(友だちでもなんでもない人)には、こう言います。
『「実は、昨夜、わたしはあそこにつれてまいった男のやどやにとまりました。たいへんよいやどやでごちそうもうまかったのですが、おどろいたことに、あの男、突然、気がちがってしまったのです」』
ということで、悪魔祓いをお願いします。
宿屋の親父は、そんなことはどうでもいいので銀貨15枚ください、と言います。
寺のぼうさんは、
『「何ということだ。お祈り前に、また発作がおきてしまったとは…たしかにこの男は気がちがっている」』
宿屋の親父はびっくり。
『「じょ、じょうだんじゃない、なんでわたしが気ちがいなんです」』
ぼうさんは町の人たちを集めます。
『「な、なんだと、気ちがいだと?」
「気ちがいだ、気ちがいだ!」
「気ちがいを助けろ!」』
ということで、金はもらえませんでした。
『「くそっ、めくらやぼうずにだまされるとは何ということだ」』
めくらの三人と旅のぼうさんはそんなことは知ったこっちゃない。
めでたしめでたし。
次の話は「ばかのピエール」という話です。
もちろん、今の普通の図書館の児童書コーナーにはこんなの置いてない。
でもちょっと五代目志ん生がやるといい話になりそうだ。