砂手紙のなりゆきブログ

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不条理な状況におかれた主人公がなんとかする話ってミステリーでいいのか(ミッション:8ミニッツ)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください)
 これからしばらく「ミステリー映画」と呼ばれているジャンルの映画を見て、その感想をだらだら書きます。元ネタはtogetterでまとめられている「ATBミステリ映画」(オールタイムベスト)って奴。別に下位・上位関係なく、見られる奴から見る。
 あと基本的に「ネタバラあり」なのでご留意ください。一応冒頭に注は入れておきます。
 映画『ミッション:8ミニッツ』(2011年)見たら、なんか変な話だけど面白かった。
 シカゴに行く列車がテロリストによって爆発されるんだけど、謎の技術によって乗客の一人の死後の脳から死ぬ前の8分間が、死にかけてる人(軍人)の脳に転送されて「お前はもう死んでるけど、とりあえずテロリストが誰なのか見つけるまで8分間何度でも再生する」という、ものすごくフィリップ・K・ディックみたいな話。
 しょうがないので主人公は必死で、爆弾を探してその乗客を救おうとするんだけど、カプセルの中の主人公はオペレーターの女性とこんな会話をします。
「君は結婚してる?」
「したけど離婚した」
「プログラムの中には違う君がいるのかな。独身のままの君や、別の男と結婚した君とか、別の人生を選んだ君とか」
 それに対して女性は、いないと思う、と極めて常識的な答を返しますが…お前は映画の中の登場人物だろうというツッコミはなし、で、それは正しい答なんでしょうかね?
 この女性が「映画の中の軍の対テロ秘密兵器のオペレーター役」になったのって、オーディションの中で選ばれたのは、そう決められていたから? 違う女優がこの役をやる可能性はなかったのかな。
 このオペレーター役の女優はヴェラ・ファーミガという人で、非常に評価が高い女優なんですが、ウィキペディアにはこう書かれています。

『当初は検眼士を志していたが、シラキュース大学で演劇を学ぶ。1996年に『テイキング・サイド』の代役でブロードウェイにデビュー。舞台・テレビで活躍する。』

 この人が検眼士だった宇宙はないんでしょうか。
 大学で演劇を教える人になっていた宇宙は?
 代役でブロードウェイにデビューしなかった宇宙は?
 ぼくはあると思います。
 ぼくと同じ考えの主人公は、そんなわけでハッピーエンドに終わる宇宙を見つけることができて、常識的な観客には「ええっ? こんな終わりかたってあり?」と非常に頭が混乱した状況でエンドロールを見ることになります。
 しかし、こういう「不条理な状況におかれた主人公がなんとかする話」というのは、ミステリーとかサスペンスとかSFとかじゃなくて、なんか特定のジャンルとして名前をつけておきたいです。
『SAW』(2004年)とか『CUBE』(1997年)とか。『十二人の怒れる男』(1957年)とかもそうかな。
 なんとかならない話でも『バトル・ロワイアル』(2000年)とかあるか。
 作ろうと思えば割と低予算で作れそうだし、日本映画向きなんじゃないかな。

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