砂手紙のなりゆきブログ

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外人の顔は引き続き見分けがつかないけど、犯人はすぐにわかるようになってるので見かえすことになる(裏切りのサーカス)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください)
 映画『裏切りのサーカス』(2011年)は、なんで21世紀になって映画化されるのかよくわからないスパイ映画でした。
 冷戦時代の1973年11月、致命的な失敗により、ハンガリーの防諜組織が壊滅した責任を取って、MI6のリーダーであるコントロールはその席を後任に譲ることになる。彼の相棒だったスマイリー(なんか「相棒」の水谷豊を、もっと何考えてるかわからないような感じにした人。俳優の名前はゲイリー・オールドマンって言います)も引退するのだが、コントロールが死ぬ前に「サーカス(MI6)の中にもぐら(内通者)がいるので探しだせ」と言い残したため、若手諜報部員のピーター・ギラムと秘密の捜査をはじめる。背後にはソ連の、かつてスマイリーが接触したことのある小柄な男「カーラ」がいる。疑いがあるのはスマイリーを入れて5人。
 けっこうややこしい話に見えて実は誰が「もぐら」だったのかってのに意外性はほとんどないんで、最後まで見て「あー、なんかこの話、小説のほうで昔読んだことあったよなー」ってぼんやり思い出した。
 外人の役者の顔はやはり見分けがつかないとはいえ、幹部の連中はけっこう個性的なんでわかるんだけど、ピーター・ギラムの下請け工作員をやっているリッキー・ターと、ハンガリーでヘマこいた工作員ジム・プリドーの区別がつかなくて、「少しハゲてる・ハゲてない」ぐらいで見分ける。時間も直線的に流れる映画じゃなくって、ちょくちょく現在と過去が交錯する、話の内容と比べると「もう少し簡単になるんじゃないの?」とか思えるような映画だった。
 あと何となく1970年代のイギリスっぽい色調が素晴らしい映像美なんだけど、1970年代に作られたイギリスっぽい映画は、リチャード・レスター監督の映画みたいに、ハリウッドほどではないけどピカピカしてた印象があるんだよな。
 一時期のアメリカ映画はゴードン・ウィリスが撮った『ゴッドファーザー』(1972年)みたいに重厚な感じのが多かった印象があるけど(ゴードン・ウィリスは映画業界のルーベンスと言われています。それは嘘だけど言われていても不思議じゃない)、今はいろいろかな。『裏切りのサーカス』はハリウッド映画じゃなくてイギリス・フランス・ドイツ合作映画です。