砂手紙のなりゆきブログ

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『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』(山本弘、2014年)で個人的に残念だったところ(フェッセンデンの宇宙)

(以下「フェッセンデンの宇宙」に対するネタバレがあるのでご注意ください)
 山本弘『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』(2014年)は、本をティーンズが紹介する小説で、最初のこの本はSFと偽科学(というか偽歴史?)みたいなものを扱っており、その中で熱く語られる小説のひとつが、エドモンド・ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」です。
 短編「フェッセンデンの宇宙」は、いきなりネタバレですが、宇宙を作った科学者が、自分たちの宇宙も誰かに作られたものなのでは、という、認識のゆらぎを扱ったものです。
 そういう意味ではエドモンド・ハミルトンのこの小説は、メタを意識した小説(メタフィクション)ということになり、『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』の登場人物は、私たちも誰かの書いた小説の中の登場人物なのでは、という疑問を抱くオチが個人的には希望です。
 別に小説の中の登場人物だからって、そんなにがっかりすることはないんですよね。普通に話を続けていけばいい。
 メタフィクションとしてびっくりしたのは、最近だと筒井康隆モナドの領域』(2015年)ですかね。
 映画だと『ジャージー・ボーイズ』(2014年)。冒頭から登場人物のひとりが、第四の壁(つまり見ている人)に向かって話しはじめる! おまけに話している登場人物が途中でさり気なく変わる! 普通に撮っても素晴らしく楽しい音楽映画のはずなのに、こいつはたまげた。