砂手紙のなりゆきブログ

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世界最初の映画『工場の出口』(1895年)に見られる物語

 リュミエール兄弟によって1895年12月28日製作・公開された映画『工場の出口』は、世界最初の現代みたいな映画の起源ということになっています(そこらへん話すと長くなるのでざっくり省略)。
 その映画は現在3つのバージョンが確認されており、そのどれもが50秒ほどのもので、工場から仕事が終わって出てくる人たち(主に女性)が写されています。
 ただそれだけのものなのですが、つい何度も見てしまうのは、出ている人たちが、多分アドリブで演技していて、その演技の背後に物語を感じてしまうからなんですね。
 いちばん大きなモノとしての物語は、馬車なんですが、それ以外にも、手前から奥に(出てくる人たちとは逆に)走る子供、しょっちゅううろちょろする犬、自転車によいしょって感じで乗る男、それとは別の自転車の先払いをする男、などなど、飽きないんだよなあ。3つのバージョン全部まとめて見ても3分もかかりません。
 その中で一番興味深いのは、馬車が出てこないバージョンの最後のところ。
 みんな出終わって、門を閉めようとしているところに、あわてて戻っていく男。
 この男だけは映画の撮影時点で、こういう風に動いて、と監督から指示があったとしか思えないんだなあ。すみません、この件に関しては映画史的なものをもっとよく読んでみて、はっきりしたことがわかったらまた書くかもしれない。