砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

被写界深度の浅い画像と深い画像でウェス・アンダーソンの映画を考える(天才マックスの世界)

被写界深度というのは、ピントが合っているように見える部分がどのくらいあるか、という意味で、これが「深い」と奥までくっきりの絵になり、「浅い」と遠くがぼんやりで手前がくっきり(もしくはその逆)の絵になります。 たいていの映画は、会話シーンで背…

ところで皆さんは金閣寺を燃やした僧の名前を知ってますか(炎上)

僧の名前は「林承賢(本名林養賢)」って言います。事件が起きたのは1950年7月2日未明。犯行の動機はよくわからない。 この話をモデルにして三島由紀夫は『金閣寺』を書き、市川崑は『炎上』(1958年)という映画を作りました。 建築物に放火して名前を残…

デジタル撮影と被写界深度の問題

現代のデジタル撮影では被写界深度を浅く撮るのには少し手間がかかります。 要するに、背景ぼんやり・手前くっきり(またはその逆)に撮るのは難しい。普通に撮ると深くなる、というのはフィルム(じゃないけど)とレンズの大きさの問題ですね。 逆に言うと…

大岡昇平が『レイテ戦記』の野間賞(野間文芸賞)で受けた辱め

大岡昇平の長編小説『レイテ戦記』(1971年)の野間文芸賞に関するもめごとは、『成城だより』1980年9月10日の日記で、曽野綾子の女流文学賞辞退と関連して、彼自身は以下のように述べています。 ちょっと要約だとまた「誤聞」になりそうなので関連テキスト…

ウディ・アレンの再リメイク版『サイコ』(ヒッチコック)

かつては売れっ子のミステリー作家で数百本の長編・短編を書いたアルビー・シンガーは、今は落ちぶれて唯一の遺産は映画『サイコ』がヒットしたときの金で買い取ったセットのモーテル&屋敷と母の年金だけ。 しかし実はもう数年前から母は死んでいてロッキン…

マーティン・スコセッシ『シャッター アイランド』(2010年)って『メル・ブルックス/新サイコ』(1977年)のプロット借りて真面目な話にしてる感じだよね

スコセッシのは原作(デニス・ルヘイン)があるからあとで読んでみよう。 通常、映画の中でうまく区別がつかないのは、・この人物は生きているか死んでいるか・この人物は映画の中では実在するか、映画の中でも虚構なのか・この人物は狂人なのか正常の範囲に…

少し真面目にウディ・アレンがヒッチコック『裏窓』のプロットをいじったとしたら

劇作家のアルビー・シンガーは幽霊しか出てこないブロードウェイの新作ミュージカルの書き下ろしのために、幽霊ばかりが出てくると評判のとあるアパートに、幽霊の妻と一緒に部屋を借りた。 最上階の老夫婦は雨に打たれて肺炎で死亡、作曲家はグランドピアノ…

不真面目なときのウディ・アレンがヒッチコック『下宿人』のプロットをいじったとしたら

21世紀のイギリスは金髪美人に支配されていた。 新聞社のデスクもテレビのアナウンサーも、下宿の女主人もその娘も、娘の恋人もみんな金髪美人。 どういうわけか200年ぐらい前からイギリスでは金髪美人しか産まれなくなって、おまけに不老不死で、銀の銃弾で…

セシル・デイ=ルイス(ニコラス・ブレイク)

イギリス本格推理小説の黄金時代の作家であるニコラス・ブレイクは本名セシル・デイ=ルイスと言って、英国の桂冠詩人(日本で言うところの宮内庁御用掛・和歌相談役みたいなもんだと思ってたけどよく知らない)であり、母校の校長の娘と結婚して、貧乏な時…

映画『市民ケーン』のえんじ色のネクタイ(和田誠シネマ画集)

和田誠の『シネマ画集』(ワイズ出版、2014年)を読んで、じゃなくて見ています。 この本で描かれた絵はもう、ビデオというものが世の中に定着してからの映画の絵なので、ラストシーンなんて確認しながら描いたんだろうな、とか思う。 不思議なのは映画監督…

美空ひばり「上海」がちゃんと英語のジャズっぽいので開いた口が塞がらない

例によってサイレント映画時代の映画に勝手な劇伴つけながら見てます。 考えてみると今月は21世紀の映画全然見ていない気がする。 適当にビッグ・バンド時代のジャズ音楽を流してたら、えらく素敵な歌声が聞こえてきて、ああこれはなかなかいいな、どこの(…

「ロック・アラウンド・ザ・クロック」はエイトビートじゃないからロックじゃない(けいおん!)

ロック(ロックンロール)の元祖とされる(ことが多い気がする)「ロック・アラウンド・ザ・クロック」は、今聞くと「ハートブレイク・ホテル」と同じくちょっとロックに聞こえない妙な曲です。ざっくり言うと、ギター以外のパーカッション・ブラス・ベース…

歌って踊ってピアノも弾けるリタ・ヘイワース(晴れて今宵は)

リタ・ヘイワースはマリリン・モンローが出てくる前のセクシー担当女優として著名ですが、出身は舞台(ダンサー)なので、ジョーン・クロフォードと同じく歌って踊れる美人女優です。 ただ、そういうこと全然知らないでフレッド・アステアとの共演映画『踊る…

ヒッチコックのあらすじがうまく書けない(三十九夜)

ウィキペディアではこんな感じ。今は少し部分的に直ってます。 ミュージックホールの「ミスター・メモリー」という記憶力のすごい男の芸を見ていたハネイは、銃声音で騒動になったホールから、謎の女性とともに自分のアパートに戻る。 彼女は軍の重要な機密…

「イングリッド(・バーグマン)、たかが映画じゃないか」byアルフレッド・ヒッチコック

山田宏一+和田誠の本のタイトルにもなっているアルフレッド・ヒッチコックのこのセリフは、映画『山羊座のもとに』(1949年)撮影中のことでした。 ヒッチコックはバーグマンの演技が気に入らず、バーグマンはヒッチコックの撮影法が気に入らなくて、おまけ…

「俳優は家畜だ」byアルフレッド・ヒッチコック

アルフレッド・ヒッチコックは、フランソワ・トリュフォーとのインタビュー集『映画術』の中で、「そのようなことを言ったのか」という質問に対しては、トーキー映画に舞台俳優が使われるようになってしばらくの間の質の悪さについて言及しています(以下要…

毎日どれだけの本が出ているか知りたい人に(TRC MARC)

TRCというのは図書館流通センターの略称で、昔コミケとかやってたところと同じ略称ですが、日本中央競馬会と日本赤軍がどちらもJRAなのと似たようなもので、全然関係ありません。図書館流通センターというのは主に全国の図書館に本を売っている会社です。こ…

モームの不思議な短編「物知り博士」での物語の結末を8つ考える

イギリスの作家サマセット・モームは、モーパッサンの血を継ぐ「オチのある短編小説」(その手の話は、延々と現代のSF・ミステリーの短編小説に受け継がれています)の名手で、モーパッサンの名作「首飾り」からヒントを得た話として「物知り博士」という…

なんで出版社が出版契約書をちゃんと作らないのか

出版契約書というのは、本を出版するときに著者と出版社で取り交わす契約書のことで、日本書籍出版協会のサイトの中に「出版契約書雛型」がPDFで掲載されており、著作権とかちょっと不明ですがこれを参考にどの出版社もその手の契約書を作ることができます。…

スポーツ中継とメディア(リング)

リアルタイムで中継して、視聴者が獲得できるスポーツとしては、まずラジオで野球が選ばれました。あのくらい聞いてて状況のわかるスポーツってあまりないと思う。「9回の表を迎えてツーアウトランナー1、2塁、巨人軍の攻撃バッターは3番長嶋」とか。相…

朝までザ・フーじゃ牛も乳出ないし鶏も卵生まなくなるよね(ウッドストック)

映画『ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間』(1970年)を見ました。世界ほぼ最初の大規模野外ロックコンサートとしていろいろ有名な、1969年8月15日午後から8月18日早朝までおこなわれたものを、マーティン・スコセッシとセルマ・スクーンメイカーが狂…

日本語吹き替えと口の動きの問題(アナと雪の女王)

アニメ映画『アナと雪の女王』(2013年)の主題歌翻訳が、英語テキストと比べてざっくりしすぎている(具体的には、エルサの考えかたが日本人風にアレンジされすぎている?)ということがどうもネットの話題としてあるようですが、英語の1ワードを1音にす…

「私」と「あたし」と「ワタシ」(僕は友達が少ないNEXT)

アニメ『僕は友達が少ないNEXT』(2013年)は、ライトノベル『僕は友達が少ない』(2009年~)を原作にしたアニメの第二期で、主人公の羽瀬川小鷹とその残念な仲間たちによる隣人部の活動を描いた物語です。 隣人部の部員は小鷹と顧問の高山マリアを含めて7…

題名とはウラハラのオシャレ女子が主人公の『校閲ガール』の校閲をする

宮木あや子『校閲ガール』(2014年、KADOKAWA)は、紀尾井町にあるオシャレ雑誌を出している「景凡社」というところの校閲部に勤務しているオシャレ女子・河野悦子(こうのえつこ)とその周辺を描く、ファッション用語が多用されているミステリーです。一応…

映画『蒲田行進曲』で本当に階段を落ちた人

映画『蒲田行進曲』(1982年)は、松竹と角川書店が合同で出資して作られた、松竹蒲田撮影所のテーマ曲が流れるんだけど舞台は東映京都撮影所で、松竹らしさよりも東映・深作欣二・つかこうへい事務所らしさを感じられる映画内映画(映画を作る話の映画)で…

映画とペイパーバック(虹を掴む男)

映画『虹を掴む男』(1947年)は、出版社に勤務する夢想家のウォルター・ミティという編集者が事件に巻き込まれて殺されそうになる、ヒッチコック風のサスペンス・コメディで、ちょっと主人公役のダニー・ケイの芸が濃すぎてどんな顔して見たらいいのかわか…

いわずと知れたジョン・レーマンと、多分あなたの知らないラヴクラフト

日本でペイパーバックの古本を扱っている古書店のブログ「読み古し「紙表紙本」の倉庫的Blog」が面白すぎてたまりません。今日はそこからだいたい引用します。 2014年7月21日のブログで、あちらのブログ主は英文学者・篠田一士「ペンギンの思い出」(『學鐙…

小津安二郎とパルプ小説(その夜の妻)

小津安二郎の戦前の映画『その夜の妻』(1930年)は、ウィキペディアには「雑誌『新青年』1930年3月号に掲載されたオスカー・シスゴールの短編小説「九時から九時まで」を原作に野田高梧が脚色した作品」と書かれていますが、原題は「Nine to Nine」で、ア…

スコセッシの映画『ディパーテッド』と○○業界

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『ディパーテッド』(2006年)を見ました。 マーティン・スコセッシ監督の作品は最近『シャッター アイランド』(2010年)を見て「えー? まだこの人生きてたの?」から「え…

神奈川県警大和警察署長だった頃の山崎泰男さんがしたこと

ウィキペディアで「神奈川県警察不祥事問題」には、以下のようなことが載っていますが、『2011年 大和警察署の46歳の男性警部補が、署内の女子更衣室や女子トイレなどに侵入し、盗撮を繰り返していたとして書類送検された。2012年 3月 大和警察署でセクシャ…