砂手紙のなりゆきブログ

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不真面目なときのウディ・アレンがヒッチコック『下宿人』のプロットをいじったとしたら

 21世紀のイギリスは金髪美人に支配されていた。
 新聞社のデスクもテレビのアナウンサーも、下宿の女主人もその娘も、娘の恋人もみんな金髪美人。
 どういうわけか200年ぐらい前からイギリスでは金髪美人しか産まれなくなって、おまけに不老不死で、銀の銃弾で撃っても死なない。
 そんな世界で下宿先を探す、毎週火曜日放送されるミステリードラマのシナリオライターであるアルビー・シンガーは、ここはそもそもぼくの脳内世界で、ぼくがどんな話を考えてもプロデューサーと監督はいつも被害者を金髪美人にしてしまう、となげく。
 ところが彼がその世界でできた恋人に恋の歌を歌うと、彼女は失神して死んでしまい、その結果金髪美人世界では彼の歌だけが金髪美人を殺せることがわかる。
 おかげで主人公は、そんな世界にうんざりして、一度は死んでみたいと思っている金髪美人集団に追っかけられる。
 最後に主人公の妹であるプロデューサーのレッティ・アロンソンが出てきて「やっぱこの話やめようよ、ウディ。そりゃー主役にトム・クルーズが使えれば考えてやってもいいけどさー」って言われておしまい。
 余談ですが実際のレッティ・アロンソンも金髪美人です。昔は金髪美人だった、って言うべきか。
 ヒッチコックの映画で、今まで見た中で一番ウディ・アレンの映画に似ているのは『マンクスマン』(1929年)です。悲劇のはずなのになんか妙におかしい。