砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

梅干しと梅酒(海街Diary)

梅干しに使う梅は、6月半ば過ぎに成熟して落ちた実で、これを土用あたりの炎天下に干したものを土用干しの梅と言いまして、夏の食あたりの予防になります。 梅酒に使う梅は、木に生っている青梅を、それよりも早い時期に取りまして、これは梅雨のはじめごろ…

落語『高い城の男』(古今亭志ん生)

本日は、フィリップ・P・ディックによります、『高い城の男』を語ります。 これはもともと、大変に長いお話でありまして、講釈師なら何日もかけてやる、アメリカのテレビドラマでも何回かにわけてやるような話でございます。 第二次大戦で日本とドイツが戦争…

体調不良と食物繊維(難消化性デキストリン)

ここしばらく、酒をやめてノンアルコール飲料を飲んでます。 記憶障害(一時的な記憶の欠如)も起きないし、頭がクラクラしないのはいいんだけど、どうも飲むと胃が痛くなるのがあって、それに必ず入っているのが食物繊維(難消化性デキストリン)。 これは…

ミステリーと数学(グラフ)

数学はいろいろ雑多なものを一般化する方法として、数字以外のもの(アルファベットとか)を使い、次に二次元にする手を使いました。 だいだい数字じゃないものを扱う段階と、三次方程式のグラフがうまく描けない段階とで、文系人間の数学は挫折することにな…

馬鹿馬鹿しさのまっただ中で犬死にしないための方法序説アニメ(幕末Rock)

アニメ『幕末Rock』(2014年)は、ゲームを元にした、すがすがしくくだらないアニメです。 時は幕末、太平の時代を維持するために徳川幕府の大老・井伊直弼はヘブンズ・ソングというものを利用し、新選組というアイドルグループに歌わせ、ロックを弾圧します…

名人の話を聞きに行って15分ぐらいで終わる話を聞かされたりしたらどうなんだろうね(古今亭志ん生)

五代目古今亭志ん生は、娘(だったかな)が音響関係の仕事をしていたので、非常に良質な音源が沢山残されているので有名です。 ただ、当時の放送時間とか録音技術の関係とかで、だいたい25分ぐらいの話にしちゃってるのよね。 でもって、一番面白いのは15分…

後期クイーン問題と3台のカメラ

スマホ程度のカメラを持っている人が3人いると、面白いことができます。 ひとりが何かを撮っていて、もうひとりがその人を撮っていて、もうひとりがその「撮っている人」を撮る。 そうすると、撮っている人が同時に撮られる人にもなって、「カメラ内カメラ…

図書館の除籍本

数か月前から、図書館の除籍本、要するにここに置いておく必要がなくなった本をもらってきています。 誰でも取れるようなところに並べてあって、誰でも自由に持っていけます。 これの何がいいかというと、図書館から借りる本と違って、読み終えたら捨てれば…

ロバート・アルトマンはなぜ勉強になってヒッチコックはなぜ勉強にならないのか

ロバート・アルトマンは21世紀になって、一度見ただけではよくわからない映画を作る監督として再評価されるようになりました。要するに、彼の映画はビデオが生まれた時代にティーン・エイジャーだった今の監督が、何度も見て真似したくなる映画です。 問題は…

ゼロ年代の狂人映画は『ファイト・クラブ』ではじまる

狂人映画は、狂人を正常人とは違うもの(非社会的なもの)として扱うことにはじまり、正常人が狂う映画を経て、『ファイト・クラブ』(1999年)に狂人の視点で展開される、狂人と正常人との違いがわかりにくい映画になって、それが現在まで続いています。 な…

漫画と音楽は情報が多すぎて、映画とアニメは情報を編集していて、小説と落語は情報が多元化していない

漫画はいろいろ細かなところ読んでる(見てる)と1ページ10分間ぐらいかかる。 音楽は、ソロとかもあるんだけどいろんな音がわーっとくる感じで、4面ぐらいのマルチスクリーンで映画見ている気になって全然集中できない。 アニメと映画のいいところは、時…

聞いている人を多く出すと佐藤順一っぽくなり、話している人を少なく出すと長井龍雪っぽくなる

なんか適当なことを書いてますが。 どうも「聞いている人を出す」という手法は、少女漫画っぽく見えるんですよね。 たとえば、「おれが本当に好きなのは」という男子のセリフのあと、ヒロインのアップになって、「お前だよ」というセリフがつく。 佐藤順一監…

会話しているふたりの撮りかたはみっつある(長井龍雪)

会話しているふたりの撮りかたはみっつあります。1・話している人を撮る2・聞いている人を撮る3・両方を撮る デジタル時代のカメラというのは、フィルム代に相当するものがとてつもなく安く済むので、会話シーンだと何台もカメラ置いて撮って、ものすごく…

アニメを作る話はどちらかというと実写で見たい(SHIROBAKO)

岡本綺堂『中国怪奇小説集』に、酉陽雑爼中の話として、「画中の人」というのがあります。 青空文庫「岡本綺堂 中国怪奇小説集 酉陽雑爼(唐)」で検索すれば実物があるので見てください。 ちょっと要約して話します。 ある人の描いた竹林の七賢人の絵に、う…

流山(千葉県)と立川(東京都)のややこしいところ

流山には東西に流れる川があります。 立川には南北に走る線路があります。 首都圏に住むだいたいの人は、川は南北に流れて、線路は東西に走ってる、って印象がありますですな。 静岡とか、中国地方の人もそうかなあ。 南北に走る線路のいいところは、電車の…

物語の始まらせかたはふたつある

「人から聞いた話」として語る方法と、「自分が体験した話」として語る方法。 怪談は、最後はひどいことになるからだいたい前者の方法で語られる。 恋愛小説は読者の好感度があがるから後者の方法で語られる。 擬似一人称(主人公の主観でだいたい語られてて…

シーからユーに変わる、恋の応援歌としてのビートルズ

恋の応援歌を作った人としては渡辺美里が(多分)有名です。 その真似をした小室哲哉が人気出たけど、多分オリジナルはビートルズの「シー・ラヴズ・ユー」。 ビートルズのシングル盤、初期の5作を聞くと、アイとユー、シーは明白に分かれてるんだけど、ア…

ヒッチコックの映画で一番面白いのは、ハリウッド映画だと『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)のような気がする

だいたいヒッチコックというと『サイコ』(1960年)『鳥』(1963年)、それに『めまい』(1958年)か『北北西に進路を取れ』(1959年)あたりがいいということになっていますが、どうも1950年代後半からのヒッチコック映画の劇伴を担当していたバーナード・…

人はなぜ自分の人生を物語と似たようなものだと思ってしまうのか

普通の人の人生は曖昧なままではじまり、突然終わります。 たいていの物語は主人公のキャラ設定は定まっており(途中であまりぐらつかない)、主人公の物語はまだまだ続きますが、一応ちゃんとしたラストがあります。 よく考えるとぜんぜん違うのに、「主人…

アニメの時間と落語の時間(唐茄子屋政談)

だいたいテレビ放映のアニメは正味20分ぐらいで1話が終わるようにできてます。 原稿用紙だと400字詰めで20枚ぐらい。 シナリオライターは200字詰めで昔は書いてたようですが、それだと40枚。 落語もラジオ放送で流されるようになってから、なんか30分以内の…

書店と図書館は扱っている本の種類が違う

書店にないものを図書館に探しに行くときには、たいてい昔の本。 図書館にないものを書店に探しに行くときには、たいてい借りただけでは手に負えない本(学習参考書とか)。 書店と同じようなやりかたで図書館の収書をするのは少し難しい。 ある程度以上では…

艦隊部に関するてさぐり部の見解(蒼き鋼のアルペジオ・Cadenza)

(今回はネタバレを含んでますのでご注意ください) なお、艦これのほうに関しては何も知らないので話に出せません。佐藤陽菜「それじゃ、みんなの艦隊部あるあるネタが出揃ったところで、新しい艦隊部考えてみよう!」高橋葵「はい! えっと、やったら規律…

メタ小説のすすめ(おそ松くん)

「俺たちは物語の中の登場人物だということを常に意識してないといけない」と、俺は、いった。「はぁ? 何いってるんだお前は」と、常に男らしい唐木は、いった。「いきなりメタ発言なのね」と、紅茶の入れかたがうまくて常に女性語で話す千鳥は、いった。「…

オタクトークは声が裏返るかどうかということ(ラブライブ)

レゾナンス(物理学)もテーゼ(哲学)もアルペジオ(音楽)もアニメの歌詞で知ったけど意味はさっぱりわからない。 指先のレゾナンスとか天使のテーゼとか鋼のアルペジオとか言われてもなー。 で、ひとつ気がついたことに、オタクの人は話していると強調し…

モテ期とMMK(モテてモテて困る)期について(伊藤計劃)

昔の文学者は、太宰治や吉行淳之介を見てもわかるとおり、大変モテた人がいるようですな。 五木寛之の全盛期には、地方で作家の講演会をやると(文藝春秋などが、本の宣伝のためにやりました)、五木寛之が話してる時とそうでない時との客の差が違いすぎるっ…

いい映画監督と悪い映画監督による映画完成お披露目記者会見

記者「今度の映画について監督から一言」いい監督「最高にいい映画に仕上がったんでぜひ見てください」悪い監督「いつもと同じなんであまり期待しすぎないでくれ」記者「俳優やスタッフとはいかがでしたか」いい監督「最高の俳優と最高のスタッフ、最高のプ…

教室に忘れ物をして戻ったらクラスメートが「○○さん感じ悪いよねー」なんて話をしてて中に入れない、なんて都合のいい物語が許されるのはケット・シーがいるネオ・ベネティアだけ(ARIA The AVVENIRE)

ぼくは「たまたま○○を見てしまう・聞いてしまう」という話の仕掛けが嫌いです。 これはもう、憎んでいると言ってもいい。 ただ、そういう状況が出てくる話の評価に関しては、だから評価を下げる、ということはあまりない。ああまたやってる、と思うだけです…

劇場アニメ『心が叫びたがってるんだ。』と『オズの魔法使』との関係

劇場アニメ『心が叫びたがってるんだ。』では1939年のミュージカル映画『オズの魔法使』の中で歌われる「虹の彼方に(Over the Rainbow)」が重要な曲として扱われます。 この映画に嫉妬したディズニーは1940年、映画『ピノキオ』の中で「星に願いを(When Y…

女子の「あなたが好きです」はだいたい「あなたの子供を妊娠したい」と同じ(心が叫びたがってるんだ。)

なお、男子の「つきあってください」は「先っぽだけでもいいから」と同じ。 人間は年を取ると昔話と自慢話しかしなくなるんで、俺はそういうの嫌いだからエロ話をする、という高田純次にならってときどきそういうこと言ってみる。 だからこのアニメは『卵子…

町へ入っていく男ではじまる話は、町から出ていく男で終わらないといけない(伏線回収)

野村美月『下読み男子と投稿女子』(2015年、ファミ通文庫)は、投稿原稿の下読みをする男子高校生と、投稿原稿を書き続ける女子高校生が伏線を回収する話です。 設定◎、キャラ○、ストーリー○~△、ぐらいって感じですかね。 でも、厳しいこと言ってないでと…