砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

サマセット・モーム『人間の絆』が思った以上に厚くてビビる

岩波文庫、上下巻かと思ったら全3冊で「中」もある。 アマゾン調べで、上433ページ、中428ページ、下452ページ。1300ページ以上か。 しかしこの本、普通にアマゾンで検索しても「中巻」って出てこないのよね。 みんな上下巻と思って読んでるのかしらん。 昔…

蓮實重彦のアンドレ・バザンに対する憎しみは半世紀にもわたって続いていました

これに関して話すと長くなりそうなんで、もうそういうのはみんなネットで他の人の長いテキストとか読むといいです。 要するに、ヒッチコックやハワード・ホークスに比べるとフランスのヌーベルバーグの人たちはジョン・フォードを全然評価してくれなかったん…

日本女性SF史(栗本薫登場以前)

SF業界における翻訳業は、比較的早くから商売がありました。 早川の銀背と言われていた新書判のシリーズで、一番最初に出た女性SF作家はジュディス・メリル『宇宙の妖怪たち』(1958年)だと思われがちですが、これはただの編者なので、ウィルマー・H・…

「ホッホウ」って言うだけで泣けちゃう映画(戦火の馬)

見た人ならみんな泣ける。 こういうのあるよね。 しかしそういうの、どうやったら思いつくんだろうか。 以下非常にネタバレ的に書いてもいいんですが、ウィキペディアにとてもくわしく映画『戦火の馬』(2011年)のあらすじ出てるんで読んでみてください。く…

ビブリオバトルのための下準備

まず本を読む。 あらすじを1000字ぐらいで書く。 どこらへんがどういうふうに面白かったのかを500字ぐらいで書く。 実際にスピーチしてみて、時間通りに行くか練習してみる。練習はテンション上がるので、家じゃないところでやったほうがいい。 観客からの質…

インプットを増やさないとアウトプットは増えないのよね(ばしゃ馬さんとビッグマウス)

映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013年)は、売れない、というか一度もシナリオが採用されたことがない、新人賞に応募しても一次も通らないで延々とシナリオを書き続けるヒロインが主人公です。彼女の貧しい部屋にはシナリオに関する本と雑誌が置かれ…

日本の地方都市の寂れ具合

幼稚園は建売住宅になる。 小中学校は統廃合されて、なくなった学校の跡地にはもとの学校の桜とブランコだけが残って公園になる。 高校は介護老人施設になる。 駅前のパチンコ屋はセレモホール(葬儀場)になる。 駅前の本屋はマッサージの店になる。 駅前の…

貧富の差を少なくする方法は、世界中の金持ちを貧乏にしてしまうこと

そのために一番いいのはやりすぎない程度の金融恐慌ですが、やりすぎちゃうから恐慌なんですよね。 近代の歴史の中で、もっとも貧富の差が少なかった時代は、世界の富(資産)の3分の2ぐらいがぶっとんだ1929年の大恐慌後の数年ですが、あれにこりてしばら…

人間の眼とカメラとが違っているところ

人間の眼は樹上で昆虫とか主に食べてた時代の名残りで、陰影に関しては非常にアバウトというか、陰影の強弱に関してはうまいこと対応することになっています。つまり、暗いところと明るいところが同時に見えるようにしておいて、急に暗いところ・明るいとこ…

リュック・ベッソンの映画で面白いのがあったりすると損する気になってしまうのはどうして(LUCY/ルーシー)

映画『LUCY/ルーシー』(2014年)は、脳の機能を増幅する麻薬の密売人に無理やりされたヒロインが、その能力を酷使してスーパー未来人になる話で、ヒロインの万能感が少年漫画的にすばらしい、漫画みたいな映画です。 リュック・ベッソンの映画でも面白い映…

映画で一番大変なのは照明で、次が撮影・編集だと思うんだけど、そんなのを目的で映画を見る人なんて誰もいない

映画は普通、役者で見ようかな、って気になって、クチコミで足を運んで、帰りに監督と脚本の人の名前だけは覚える。 映画がつまらなかったら、それは役者のせいじゃなくて監督と脚本家のせい。 でも、照明はとても大事。 ショット(カット)が変わっても、同…

共同通信文化部『書評大全』(2015年)で紹介された映画の本

ついでに評者も入れておきます。 べっ、別にあんたのためになんかじゃないんだからね! 勘違いしないでよ! 吉田喜重『小津安二郎の反映画』(山口猛)1998年6月25日 小林久三『日本映画を作った男』(西村雄一郎)1999年2月18日 高井有一『高らかな挽歌』(…

21世紀に手塚治虫と黒澤明とビートルズの話をしようと思うと便利なこと

手塚治虫は講談社の漫画文庫その他で、雑誌掲載時のものも読める。 黒澤明の映画はDVDその他で字幕つきのものが見られる。 ビートルズの全曲をスマホに入れて持ち歩ける。 と、このように便利きわまりないんだけど、「当時のその人たちがライバル視してたも…

なぜハリウッドのスターは年を取るとくだらない映画に出てしまうのか(ロバート・デ・ニーロ)

映画『アナライズ・ミー』(1999年)のロバート・デ・ニーロを見てそう思った。 でもまだこのころは、デ・ニーロは五十代なんだよな。 21世紀になってからも、毎年いくつかの映画に出てて、今ごろになって彼が出ている映画をある程度見ようと思うと大変すぎ…

共同通信文化部『書評大全』(2015年)という辞書みたいな本読んでる

しかしこれもう、読む本って言えるのか。 1998年3月から2014年3月にかけて、共同通信が全国の新聞社に配信した書評のまとめ。索引部分も入れて2546ページ。毎週1回6冊の本を紹介していて、トータルで5000冊。字数が決まっているので1ページに2冊収録。…

雑誌は広告を載せる媒体として生まれて育った

植草甚一なんて、雑誌の広告を切り取っちゃうらしいんだけど、それはもったいない。いい紙といいデザインは雑誌の中では広告のために使われていました。本文は捨てても広告は残しておかなくては。 全盛期の月刊アスキーは、あまりの広告の多さに第三種郵便物…

ミステリ編集者までの長い道

新保博久『ミステリ編集道』(2015年)には、あとがきにあたる鼎談を除くと13人の編集者が出てきます。東京創元社や早川書房はともかく、各種出版物を出している大手出版社の中でどうやってミステリーの本を出していったのか(企画を通していったのか)、そ…

1グラムのセシウム137は何ベクレル?

これを出すには、まず以下の数を頭に入れておきます。ln2(2の自然対数・エルエヌ2)…約0.693これはネイピア数e(約2.718)を何乗したら2になるかという数。要するに2.718の0.693乗は2。1mol(モル)=アボガドロ数(炭素12の原子がこれだけの数だけある…

日本のSFは星新一のシニシズムからはじまった

星新一は自分の乗っていた船が難破したため、孤島での話を千話以上書くことになりました。SFの第三世代ぐらい、1970年代にデビューした人たちまでぐらいは、SFはさまざまなものに挫折・絶望した人のための小説でした。その中でも一番多かったのが「漫画…

シニシズムと相対主義とシラケ世代

1970年代は左っぽいものがどんどん極左化していって、様々なテロ集団を生みましたが、その一方で日本は全共闘世代のあとの、何もない世代としてシラケ世代が1970年代中ごろを中心に生まれました。 1970年代後半はオタク第一世代と重なる部分もありますが、シ…

かわいそうなアルド・モーロ(赤い旅団)

1970年代は世界中でテロが大人気で、日本では日本赤軍・連合赤軍が有名ですが、それ以外では東アジア反日武装戦線による三菱重工爆破事件を含む一連の爆破テロが知られてますかね。 イタリアでは赤い旅団というテロ集団により、1978年3月16日にアルド・モー…

日本の映画監督ってシナリオ(脚本)書けないとなれないの?

考えてみると不思議なことに、だいたいの映画監督は脚本も書いてる。 脚本が書ける人が監督になれるとは限らないし、監督業に集中したら脚本書かなくなったり、代表作は人が書いた脚本の映画だったり、共同で脚本書いたりするけど、だいたい戦前~戦後すぐに…

何もないところでつまづく人は目が悪い人

ちょっとつまづいて手をケガしてしまいました。全治3週間ぐらい。本当は1週間ぐらいでなんとかなるはず。 まあそういう個人情報を書くのはめったにないんですが、目の悪い人は足元がしっかりしていても、アイドルマスターの天海春香みたいに何もないところ…

手塚治虫がキャラクターを描いた「珈琲は黒い魔女」の語源になったフランス語のテキストって何?

今回は調べがつきませんでした。 手塚治虫は、大阪のコーヒーの卸問屋である福田珈琲の創業者で(当時)社長だった福田規雄と旧制中学が同じ(旧制北野中学校)だったよしみで、1970年代の新ブランドだった「珈琲は黒い魔女」のキャラデザインの依頼を受け、…

役者として役者を見ている『前田敦子の映画手帖』

元AKB48でテレビドラマや映画の俳優(女優)としても人気のある前田敦子はせっせと映画を見ている人で、『前田敦子の映画手帖』(2015年)によると1日5本も見ていたことがあるという恐るべき映画中毒者(シネマディクト)です。 その本に出ている映画の感…

クリエイターの究極の想像と創造は「天才」じゃなくて「頭のおかしい人」をどうやって作品の中に出すかということ

クリエイターは自分の能力を超えた頭のいい人は出せないので、作家自身がグレッグ・イーガンみたいな天才じゃないと、頭のいい人はうまく作れない。ミステリーの作中の名探偵は、バカじゃないけど頭のいい人というわけでもない。 頭の悪い人は、頭のおかしい…

チェスタトンと車寅次郎をつなぐ狂人の論理

山田洋次監督による寅さんシリーズを見ていると、おかしい(面白い)人はなぜ頭がおかしい(狂人)のように見えるのか、について考えさせられます。 山田洋次の喜劇の中で面白い人というのは、世界を独自に解釈していて、その解釈が実際に世間の人が認識して…

言ってることは普通なのになぜか赤面してしまうγ線の説明

γ線はα線と同じく荷電子放射線のひとつです。 α壊変・β改変した娘核種は、まだ過剰なエネルギーが残ることがあって基底状態になるとは限らず、勃起状態となることもあります。その勃起状態が基底状態になる場合に放出されるのがγ線です。 γ線は原子核から放…

「黄色い背表紙のミステリー」って創元推理文庫の日本人作家でいいの?

黄色い背表紙ならエド・マクベインじゃないかな。 あと、E.S.ガードナーもそうだったっけ。 翻訳の本格ミステリーが好きな人は、背表紙が青と赤と緑の本を選ぶといいのです。 黄色い背表紙の創元推理文庫って、『黄色い部屋の秘密』ぐらいしか思いつかない。…

最近毎日していること

朝起きたらチェスタトンのブラウン神父を1作読む。 ねこあつめ。 リピたんという英単語学習ソフトをいじる。 ねこあつめ。 とりあえず5千歩目標で歩く。 ねこあつめ。 ペリー・ローダンを1作読む。 ねこあつめ。 寝る前にSleepTimerというアプリで、30分…