砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アニメも映画も、人物を右から左に歩かせすぎ。あと多分生徒会室は校舎の西の端にあって、ダメクラスは東の端にある

舞台でいうと、上手(かみて)から下手(しもて)ということになるんですが、日本の古典芸能では「向かって右」から人物が出てくる演出って本当はないんです。だもんだから、『勧進帳』の義経・弁慶の登場なんてものすごく変なことになってる。 あれは、西洋…

芸で金をかせげるようにするには3つの勉強・研究方法があってたいていの人はそれを混ぜて使ってる(円月殺法)

何か人に見せるための芸を身につけ、それでお金をかせげるようにするには3つのことをやるといいんじゃないかと思います。1・現代の主流である「型」を勉強・分析し、技術として自分のものになるまで徹底的に鍛える2・過去に主流であったり、使われたこと…

意図的にイマジナリーラインを崩している気がするアニメ『ダンタリアンの書架』(成瀬巳喜男)

映画の撮影技法として「イマジナリーライン」というものがあります。 これは話すと長くなるんですが、わかりやすくいうとたとえば「話している人物の切り返しをしない」みたいな、視聴者を混乱させない技術です。 落語で右が与太郎で左が大家さんだったのが…

ハーレムアニメのヒロインのキャラ設定はパラメータ(数値)でもできるんじゃないかな(いつか天魔の黒ウサギ)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) アニメ『いつか天魔の黒ウサギ』はヴァンパイアのサイトヒメアと、小さいときに彼女と契約して900秒に6回までなら死ねるようになった高校生・鉄大兎を中心にした物語で、アニメだ…

どうもキャラの性格設定が外見と違いすぎて困るアニメ『アルカナ・ファミリア』のヒロイン・フェリチータとゲーム原作アニメの主人公問題

アニメ『アルカナ・ファミリア』は、イタリア文化圏の架空の貿易都市・レガーロ島を舞台に、島の主で世界をカード(タロッコ)で仕切っているモンドの娘・フェリチータをヒロイン(主人公)にした、その周辺の特殊能力者7人の男性を描いた物語です。 白雪姫…

ハーレムアニメの主人公がハーレムになるのは「いい人だから」で十分だし、私立探偵小説が真実に突き当たってしまうのは「仕事だから」で十分だ(リトルバスターズ!)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) アニメ『リトルバスターズ!』は男子4人と女子5人(プラスマネージャーの1人)が野球をはじめる、恋愛アドベンチャーゲームをもとにした物語です。ちなみに野球は最後に少しだ…

「日常の謎」的犯罪に動機って必要なの?

自分が毎日通る道にある家の玄関わきに、猫の石像があります。 色は自然石の石の色で、大きさは30センチぐらいかな。招き猫みたいなカリカチュア系じゃなくて、前足をそろえて、ちょっと上を見ているポーズです。 もう気づいてからひと月ぐらいになるんです…

アニメ『夏雪ランデブー』における島尾篤の成仏のし具合について

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) アニメ『夏雪ランデブー』は、病弱な夫・島尾篤に3年前に死なれて花屋の店長をしている、目が大きくて髪が短い中学生みたいな島尾六花と、彼女に惚れて店のバイトになる葉月亮介…

東京で住んでみたい町なら北千住

北千住は東京の東北端・足立区にあり、地名的には南千住が荒川区にあるんで少しややこしいんですが、北千住駅は常磐線・地下鉄千代田線・地下鉄日比谷線・東武伊勢崎線・つくばエクスプレス(首都圏新都市鉄道)の駅がある、すごいところです。 どこがすごい…

アニメの素晴らしいところは何も考えていない人物を絵として出せるところ(塩田明彦『映画術』)

塩田明彦『映画術』(イースト・プレス)は、映画監督・脚本家である塩田明彦が2012年の春から秋にかけて、映画美学校アクターズ・コースのためにおこなった連続講義7回分を元に本にしたものです。 タイトルはヒッチコック&トリュフォーの『映画術』から編…

映画・アニメで「何かを見ている誰か」を撮して、次に「その見ている何か」を撮すのは『散り行く花』が起源

実は「起源」というのは嘘です、すみません。 考えてみると不思議な技術ですよね。 文章にすると「彼女はその花を見た。花は美しかった」というのを、1・花を見ている彼女の顔を撮す2・その彼女の目から見ている花を撮す って映像にしますかね普通。 絵画…

マイケル・バルコン製作の犯罪映画(カインド・ハート)

かつてイギリスには1929年から1958年まで、イーリング撮影所というものが存在し、マイケル・バルコンはそこのプロデューサーとして95本の長編劇映画を担当しました。今日日本で見ることのできる映画は数本しかありませんが、ロバート・ヘイマー監督でアレッ…

映画の内容が覚えられない病(ワイルド・アット・ハート)

最近実に見事に映画の内容を忘れてしまうのが多くって、そういうのはだいたいデヴィッド・リンチ監督の映画ということになっています。別に難しいとか、ややこしいというんじゃなくて、「要約すると簡単な話なんだけど、どうも作りこみ具合がぼくの脳の中に…

日本映画をイタリア語に訳した人

日本語の映画は海外ではそのまま見られることはまずなくって、英語もしくはその国の字幕がつきます。映画祭だったらヴェネチアはイタリア語、カンヌはフランス語、ベルリンはドイツ語。英語圏の映画はどうなのかわからない。 そういうことやってた人は、黒澤…

6時間で書かれた野坂昭如の短編小説「火垂るの墓」(文壇)

1967年の夏、野坂昭如は悩んでいました。 週刊誌「週刊コウロン」の雑文が縁で、雑誌の廃刊後「小説中央公論」に異動した編集者・水口義朗の依頼により1963年の秋に書き上げた「エロ事師たち」が三島由紀夫・吉行淳之介などの絶賛を浴び、順調に、というより…

見ててぼくの目がおかしいんじゃないかと思う不思議な撮影の映画『ロング・グッドバイ』(グラグラ映画)

ロバート・アルトマン監督の映画『ロング・グッドバイ』(1973年)は長い間ミステリー・ファンの間では「なかったことになっている映画」の一つでした。 この中のエリオット・グールド演ずるところのフィリップ・マーロウが「センチメンタルな探偵」の代表作…

クリストファー・ノーラン監督が『タイタニック2』を作ったら本当の話なのか話の中の話なのかわからない映画になると思う(レオナルド・ディカプリオ)

クリストファー・ノーラン監督はややこしい映画作らせたら多分今のところ世界一の人で(条件として「にもかかわらずヒット作」という縛りはありますが)、ウェス・アンダーソンやリチャード・ケリーと並んで、比較的若い映画監督として、ぼくが贔屓にしてい…

ちびくろサンボのあまり知られていない続編とそれに含まれている寓意について(ちびくろ・さんぼ2)

絵本『ちびくろ・さんぼ』は扱われているキャラクターの差別的扱いが一時問題になって読めなかった絵本ですが、今では普通にどの図書館でも読めるようです。内容はご存知の通り、黒人、というより有色人種の子供の「さんぼ」が、虎に帽子や長靴や傘を取られ…

ところで皆さんは落語「笠碁」で「待った」っていう人はどっち向いてしゃべっているか覚えてますか(大工調べ&船徳)

落語「笠碁」は、碁好きな二人の人物を語る話で、年齢的にはもう楽隠居してるぐらいの人が子供っぽい喧嘩をして仲直りをします。「ちょっと待った」と相手の手に対してお願いをするのはその家の主(あるじ)で、向かって右(上手)のポジションで、向かって…

1976年と1984年に起きたこと(新潮文庫の100冊ほか)

新潮文庫は夏休みの文庫セールス企画として1976年に「新潮文庫の100冊」というものをはじめました。夏休みに何を読んだらいいのかわからない(あるいは、何を売ったらいいのかわからない)人のために、出版社が仕掛けたものとしては著名で、似たような夏休み…

海外のテレビドラマのこんなところが嫌だ(肩ナメ撮影)

アメリカの刑事系のテレビドラマを見ていると、以下のような構図のものによく出会います。・南側を光源(窓)にして、東に人物A、西に人物Bがいる・画面の左側奥に人物Aがいて話し、右側手前に人物Bの肩が写っている(肩ナメ)・人物Bが話すときは、右…

アニメの会話が続くシーンで会話している人物の手とか背景とか間に入れてみたりするのは芋演出(GJ部)

アニメ『GJ部』は個性的な女子部員に混じって一人の性格のいい男子部員が下僕のように扱われ、全員のグルーミング(髪の毛ブラッシング)をする、という、これだけの紹介ではどこが面白いのかさっぱりわからないアニメです。 舞台となっているのはパソコン…

横山秀夫『64』が去年の本屋大賞2位なのに平積みで置いてないっていうのは、多分タイトルが悪かったんじゃないかと思った

本屋大賞は本屋大賞実行委員会が企画運営する2004年からはじまった賞で、書店員による「売りたい本」というのを基準に、日本の小説・翻訳小説の中から(翻訳小説は2012年より設けられました)選ばれている賞です。選ぶのは書店員で、売るのも書店員というこ…

名探偵って嘘ついてもいいの?(「屋根裏の散歩者」)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 江戸川乱歩の短編「屋根裏の散歩者」は、雑誌「新青年」の1925年(大正14年)8月増刊号に掲載された作品で、下宿の屋根裏から密かに人の部屋を覗き見るのを趣味にしていた若者・…

面白かったものを語るのと比べると好きなものについて語るのは難しい(倉知淳『なぎなた』)

倉知淳『なぎなた』(東京創元社)は『こめぐら』とセットになっているお蔵出し的短編集です。この本には7つの短編が収録されており、その作品のいくつかとあとがきでは、作者の猫に関する熱い愛が語られます。 その語りの中で感じることは、好きだったり愛…

ゆるく教えて・ビートルズが日本に来たとき、飛行機のタラップでジョン・レノンがハッピの下に着ていたTシャツのブランド

1966年の6月29日未明、ビートルズは日本航空(JAL)の飛行機で日本に到着し、グループとしては最初で最後の日本公演を武道館でおこないました。台風の影響で大幅に日本到着が遅れた飛行機の中で、彼らのスーツはよれよれになり、ファーストクラスの客にJALが…

頑張って本を読む方法(ゼノン式読書法)

1・本の100ページ目のところに紙を挟む2・「4ページ(2枚)」読んだら、挟んだ紙を「2ページ(1枚)」進める3・そうすると、100ページ読むと挟んだ紙は50ページ先にあって、以下24→12→6→2となるんで、あんまり考えないで140~150ページぐらい読める4…

アニメ『ラブライブ!』のファーストライブには何台のカメラが使われたのか

アニメ『ラブライブ!』は少子化その他の影響のため廃校になりそうな学園を、学園アイドルという企画で新規入学者を集めようと考える女子高生たちの話です。スタート時点では3人だった仲間が、アニメ2期その他の最後では9人になります。しかしファースト…

見てた人の半数ぐらいは気づいていたと思うアニメ『ガールズ&パンツァー』OPにおけるオートフォーカスの演出(ガルパン)

でも半数ぐらいは割とどうでもいいと思ってたかもしれないのでブログで書いておきます。 アニメ『ガールズ&パンツァー』は戦車で戦う(といっても殺しあうわけじゃないです)女子たちを描いて、戦車のリアルっぽい描写その他で戦車趣味その他の人たちを喜ば…

アニメのピント合わせに見られる主観的視点の強調(ちはやふる2&たまゆら~もあぐれっしぶ~)

アニメや漫画の場合は実写と違って、適当にピント合わせるということが逆に無理なんで、絵を描けばどんな絵でも「奥行き」や「手元」がボケたりする、ってことはありません。奥と手元の同時に、くっきりとした像を置くことができます。漫画の場合は「焦点を…