砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

素人は毎日どのくらい物語を作ればいいのか

E.S.ガードナーは弁護士事務所の仕事をしながら、毎月10万語を目標に執筆活動をしていました。 毎日3500語ぐらいかな。 英語の1語が日本語だと2.2文字ぐらいになるらしいので(漢字ひらがな合わせて)、日本語換算だと毎月22万字、400字詰めで550枚。 日本…

黒澤明の映画『羅生門』がアメリカ映画に与えた影響

だいたい、黒澤明と手塚治虫とビートルズに関する本は、とりあえず新刊が出たら目を通してみることにしています。 創作物が半世紀経っても比較的容易に鑑賞できることと、毎年数冊は新しい情報が入った本が出ていることと、創作者のキャラが立っていて面白い…

川口松太郎面白いです

そもそもなんでこんな、図書館ぐらいにしか置いてないような作家を読もうかと思ったのか、自分でもわからなかったんだけど、映画『雨月物語』(1953年)の原作だったんでちょっと記憶にあったんだな。 とりあえず全集1巻収録の長編『歌吉行燈』読みはじめた…

救われない人たち(Fateだったかな?)

1000人のうち501人を救って499人を犠牲にする何かがあります。 救われた501人のうち251人を救って250人を犠牲にする何かがあります。 そのときの選択は常に正しくても、この段階で251人が救われて759人が犠牲になる。 要するに救われない人のほうが多くなる…

轟夕起子と上原美佐のメタな祈りと涙(黒澤明)

黒澤明監督の、映画監督としてのキャリアは『姿三四郎』(1943年)にはじまり、その最初の撮影は村井半助の娘・小夜(轟夕起子)と姿三四郎(藤田進)が出会う場面で、横浜の浅間神社境内でおこなわれましたが、この時轟夕起子は「黒澤さんの初監督映画、ど…

ガブリエル・ガルシア=マルケスが語った「サマーラの死」を転がしてみる(物語の作り方)

ガブリエル・ガルシア=マルケス『物語の作り方』(2002年、岩波書店)では、「サマーラの死」という短い物語についての言及があります。P36『十五分ものでももっと短く語れるものがあるよ。『サマーラの死』を覚えているかい? 召使いが真っ青な顔をして主…

ドライブイン映画とロジャー・コーマンの功績(ウィッカーマン)

映画『ウィッカーマン』(1973年)は長い間幻のカルト映画でした。 映画を製作したイギリスの映画会社ブリティッシュ・ライオン社は映画不況のためEMIに吸収合併され、オリジナルのネガ・フィルムはその後のゴタゴタで廃棄され、跡地に作られたバイパスの…

映画『有りがたうさん』におけるくだらないギャグと『伊豆の踊子』のリアル

清水宏監督の映画『有りがたうさん』(1936年)は、伊豆の下田から修善寺まで、伊豆の山(峠)をふたつ越えて走るバスの運転手、通称「有りがたうさん」(すれ違う人みんなに「ありがとう」と声をかけるため)とその乗客に関する物語です。 この映画の原作は…

ドアは誰かの入り口か出口(大図書館の羊飼い)

ガブリエル・ガルシア=マルケスは、みんなで30分のテレビドラマの話を考えるという講義(というか集団ディスカッション)をまとめた『物語の作り方』(2002年、岩波書店)の中で、主人公がドアを開けると、部屋の中に女性がいる、という物語展開について、…

ビッグス・ダークライター問題もしくはゆんちゃん問題(スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望)

ビッグス・ダークライターは、スターウォーズ第一作(エピソード4)に登場し、主人公のルーク・スカイウォーカーに「やあルーク、ルークじゃないか!」と馴れ馴れしく話しかけ、デススター破壊の突撃隊の隊長に「こいつは凄腕のパイロットなんです」と紹介…

青く澄みきった水のようなこの気持ち(蒼き鋼のアルペジオ)

フランスで小説が発達したのは、感情の表現をあらわす語が豊富だったからです。 要するに「恋だかなんだかよくわからないけど、なんかモヤモヤするこの気持ち」から「頭が好きの気持ちでいっぱいになって、カッカするこの気持ち」までを、フランス語ではうま…

物語と曖昧な語り手のややこしい関係(師弟決死隊)

二十世紀になって物語は、物語の中に「信頼できない語り手」を置くという技術によって、大変ややこしいことになりました。 昔の物語は、語り手が嘘を言っているか真実を言っているか、あるいは嘘を交えた真実を言っているかがそれなりにわかるようになってい…

虫の発見(ジュール・ルナール)

虫(昆虫)は西欧の場合、19世紀末、ジャン・アンリ・ファーブルとジュール・ルナールによって発見されました。 それ以前にも虫はいたんですが、創作物の中にうまく入れることができなかったんですね。 なんか小さくて、まわりを飛ぶ虫は、カブトムシとかト…

小説の登場人物に作家を出すのは映画に鏡を使うようなもの(わらじむし)

小説の中に作家が出てくると、その作家が書いた文章と、その小説を書いている(本来の作家である)文章との区別が難しくなります。 ジュール・ルナール『わらじむし』(1889年)は、とある村の金持ちとその妻、息子と娘、そしてその周辺に関する物語で、金持…

21世紀のアニメでも音楽に指を合わせるのは難しい(響け!ユーフォニアム)

たとえば、一番有名な曲として、モーツァルトの俗名「トルコ行進曲」を挙げます。 これは、演奏は「アレグレット・レガート(やや速く、なめらかに)」という作曲者の指定があります。 アレグロとアレグレットの間がだいたい、1分間で8分音符120個、つまり1…

「私のことを書かないで」という小説

この小説の中で作者は、自分の10歳の娘について語ります。性格や学校でのできごと、クラスの友だちのこと、そして彼自身の職業と秘密のことなど。 最後のオチはそれらを書いている作家のところに、娘が入って来てこう言う、というものです。「お父さん、私の…

私のことを書かないで

多くの創作者は自分の子供みたいな子供を出します。 そういうのって、当人はどう思うんですかね。 子供のうちはいいんだけど、成長すると「なんでこんなことまで書くんだよ」とか普通怒りますよね。 椎名誠にはふたりの子供がいましたが、娘の葉(よう)は「…

香箱座り(女子同士の男子の話以外のぬるい会話を再現してみる試み)

「ねぇ見てみてこの猫の「おまえは何を言っているんだ」座り」「あーそれ、香箱座りの変形だね。椅子に座って、片ほうの前足をテーブルに乗せてる奴」」「あれってやっぱ、香箱の上に座るときの形なわけ?」「知らねーよそんなの。だいたい香箱なんて普通の…

ケン・リュウ『紙の動物園』で勉強する短編集の短編の終わらせかた

ケン・リュウ『紙の動物園』(2015年、早川書房)は、日本で独自に編纂された個人短編集で、15作品が収録されています。 芸風は、星新一のアイデアに現代科学っぽいもの入れて(これは人工知能を扱った短編が入ってるせいもあるかな)、クリアな情景描写で、…

1950年代のアメリカ映画の素晴らしいところは数人をまとめて撮ってるところ(水爆と深海の怪物)

映画『水爆と深海の怪物』(1955年)は、放射能の影響で巨大タコが人間を襲うようになる、というくだらない映画です(放射能によってタコが巨大化するわけではありません)。 この話の中では、多分主人公だと思う原子力潜水艦のピート艦長、船にくっついた謎…

映画『シルミド』と完全数

韓国の映画『シルミド』(2003年)は、1968年、北朝鮮と韓国が緊張状態にあった中で、死刑囚その他を集めた、よりすぐりの精鋭部隊によって金正日の首を取ろうとするけど、土壇場で中止命令が出て、やけくそになった男たちが反乱を起こして、正規兵を殺して…

個人作家の全集はまず随筆類から読む(1巻からは読まない)

個人作家の全集は、だいたいはじめの数巻は初期作品ということで、あまり面白くないのが入っています。 映画の監督第一作が面白かったりそうでなかったりするのと比べると、つまらないのまで文章の場合は残ってしまうからなんですかね。映画の場合も自主制作…

今まで見た絵でいちばんびっくりした絵

それは村山槐多「尿する裸僧」です。 お坊さんが全裸で赤く発光してて、托鉢の鉢に放尿。 今日は特別にウィキペディアの絵をつけるのです。 本日は68文字です。

刺し身にキナコつけてジャム塗って食べたような気分になる映画(トワイライト ささらさや)

主人公(ヒロイン)のサヤは、売れない落語家でもうじき真打ちになるはずのところのユウタロウと結婚していて、ユウスケという子供も一人いる女性。ところがユウタロウが事故で死んでしまって、霊魂として人の体に乗り移って会話できるということになり、ユ…

都々逸でアニメの話をまとめてみる(響け!ユーフォニアム)

どうも見る端からアニメや映画の内容忘れてしまうので、とりあえずアニメは1話ごとに都々逸の節で覚えることにしました。 たとえば、『響け!ユーフォニアム』(2015年)1話だと、こんな感じ。 ダメ金もらって高校行って 友達できてスイ部やる これが、『…

とめはね(ちはやふる)

漫画やアニメ、ライトノベルのロゴのフォント研究サイトとしてネットでは有名な「ゆず屋」というところがあります。 そこでは漫画『ちはやふる』(2008年~)のタイトル文字が「「ち」がモリサワの秀英3号、「は」、「ふ」がモリサワのリュウミン・オールド…

日本語の本はなぜ上から下~右から左に読むのか

古代ギリシア語は、実に筆記には都合のいいやりかたが使われていました。 つまり、左から右に書いた次の行は右から左に書く。 それだけだと間違いやすいので、右から左に書くときには、なんと鏡文字で書く。 よくまあこんなばかばかしい書きかたをしていたも…

今まで聞いた中でいちばんばかげた話

男A「もう餅はつき終わったかい」男B「ああ、できてるよ。だがちょっと待った。これで賭けしてみねぇか。こう、お互いにばかばかしい話をしあってね、どっちかが「そんなばかばかしい話はあるもんか」と言ったほうが負け、ってのはどうだ。お前が勝ったら…

今まで聞いた中でいちばんびっくりした話

男Aが男Bに言いました。A「お前、今までにいちどもびっくりしたことないんだってな」B「ああ、そうだよ。それが俺の自慢だ」A「そうか。じゃ、いいことを教えてやろう。あそこの丘のところに木があるだろ。あの木の南側、歩いて10歩ぐらいのところを、…