砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2014-01-01から1年間の記事一覧

本とアニメと漫画と映画はどのくらい見たり読んだりすればだいたい同じぐらいの感覚になるか

植草甚一は毎日6時間モダン・ジャズを聞いて、半年経ったらジャズ評論を書くようになりました。その合間にはジャズに関する基礎文献とか英語でちゃんと読んでるはずですが、今の環境では音楽6時間聞くのはそんなに難しくはないですね。LPの時代で、音を…

ポストモダンと過去へのアクセスへの容易さの問題(キルラキル)

モダン(モダニズム)が、どうやったら今までのものより新しいものが作れるか、にこだわり続けたのに対し、ポストモダンは新しいとか古いとかない、という考えです(本当は少し違うんですがわかりやすいようにしてみました)。日本の小説におけるポストモダ…

フレーム外の声は神の声(フライト)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『フライト』(2012年)は、アルコール依存症でヤク中の飛行機のパイロットであるウィップ・ウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)が、コントロール不能状態に陥った飛行機…

海図も磁石もコンパスもなしで闇夜の国から二人で舟を出すときの留意点

それは、「海流とは逆の方向に漕ぐ」 ということです。 漕ぐのに疲れて新しい島が見つけられなくても、海流に流されてれば元の島のあたりに戻れる可能性があるけど、海流に流されてたら元の島には戻れない。太平洋の島の人たちは日本に流れつくかもしれない…

無責任男とハードボイルド(ニッポン無責任時代)

映画『ニッポン無責任時代』(1962年)は、東宝映画のクレージーキャッツ映画主演第一作として知られています。 脚本の第一稿を書いた田波康男と渡辺普との話し合いの場(クレージーキャッツが出演している新宿の「クラブ・リー」)に、当時のブレーンだった…

中原中也のキラキラした瞳(蒼き鋼のアルペジオ)

中原中也のよく知られている(ウィキペディアにも使われている)写真は、ふたつのトリックがあります。ひとつは彼の特徴である、とがった耳(そのために彼は「山羊くん」と呼ばれ、詩集『山羊の歌』の由来になりました)を帽子で隠していることと、瞳を中央…

メタ構造として楽しむ『鍵泥棒のメソッド』

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『鍵泥棒のメソッド』(2012年)は、売れない役者の桜井武史(堺雅人)が、凄腕の殺し屋(というか便利屋ですけどね)である山崎信一郎(香川照之)の、事故による記憶喪失を…

廿日市(はつかいち)市の市民図書館にあった驚異の日本十進分類法(NDC)萌えキャラ化

広島には廿日市(はつかいち)という市があり、そこの市民図書館(市立図書館)は「市」がさすがに多すぎると思ったのか、「はつかいち市民図書館」という名称になっています。 そこの内部サイト「図書館お役立ちページ(青少年向け)」を見たら、きっと日本の…

なんでこの子たちはたいていこっち向いてしゃべってるの?(少女たちの羅針盤)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『少女たちの羅針盤』(2011年)は、広島県福山市を舞台にした素人女子高生の路上演劇をする4人をメインにした犯罪(殺人)の話です。最近どうも3次元の日本映画(要するに…

対話しているふたりを撮る4つの方法(蒼き鋼のアルペジオ)

対話しているふたりの人物を撮るには4つの方法があります。1・話している人物を主に撮る その場合は、その人物だけを撮る・聞いている人物を肩ごしに併せて撮る(話している人物が奥で、聞いている人物が手前)・ふたりとも正面を向かせて並べて撮る・ふた…

最初のシーンを一番最後に撮っている映画(サウンド・オブ・ミュージック)

1960年代を代表するような映画で、最初のシーンを最後に撮っていることで有名な映画がふたつあります。 ひとつは『アラビアのロレンス』(1962年)で、これはバイクでロレンスが事故死するシーンなんですが、本当にロレンス役のピーター・オトゥールが事故死…

リハーサルをする人としない人(黒澤明とウディ・アレン)

ウディ・アレン監督はリハーサルをしない人で有名でした。 そのかわり、現場で面白いと思ったものはどんどん入れて、つまらないと思ったものは容赦なくカットする。自分が出ているショットでもがんがん削る。『カメレオン・マン』(1983年)の場合は削りすぎ…

アニメらしい演出で「へー」と感心したカット(幻影ヲ駆ケル太陽)

アニメ『幻影ヲ駆ケル太陽』(2013年)は、『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)以来もっとも「へー」と思った魔法少女ものですが(とはいえそういうのばかり見ているわけではないので他に面白い作品あったら教えて)、特に感心したのはキャラデザインの強引…

休刊(廃刊)になった雑誌の編集長はどうなるか

映画『ドラゴンタトゥーの女』(2011年)の主人公ミカエル・ブルムクヴィストは雑誌「ミレニアム」の編集長でしたが、雑誌の記事による名誉毀損でその座を降りることになります。彼の場合は経営者でもあったんですが、たいていの大手出版社における雑誌の編…

別々の行動をしている人間をどう撮るか(ドラゴンタトゥーの女)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『ドラゴンタトゥーの女』(2011年)は、スウェーデンを舞台にしたミステリー映画で、富豪の一族で消えた少女の謎を解くために、諸般の事情で雑誌編集長をやめた中年のミカエ…

ワタとコットン(cotton)の謎(けんぷファー)

英語ではワタはコットンですが、コットンの起源はアラビア語のqutun(綿花)で、スペイン・フランスを経て英語になりました。正確にはワタじゃなくてモメンですかね。木綿が来る前にワタという言葉は「なんかこう、ふわふわしたもの」という意味の日本語とし…

外人の顔は引き続き見分けがつかないけど、犯人はすぐにわかるようになってるので見かえすことになる(裏切りのサーカス)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『裏切りのサーカス』(2011年)は、なんで21世紀になって映画化されるのかよくわからないスパイ映画でした。 冷戦時代の1973年11月、致命的な失敗により、ハンガリーの防諜…

全盛期の手塚治虫なみに変態な映画だった(私が、生きる肌)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『私が、生きる肌』(2011年)はなかなかめちゃくちゃな映画でした。 まず、なんかわからないけどスペインのトレドにある古い屋敷(豪邸)に閉じ込められてるベラっていう素…

不条理な状況におかれた主人公がなんとかする話ってミステリーでいいのか(ミッション:8ミニッツ)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) これからしばらく「ミステリー映画」と呼ばれているジャンルの映画を見て、その感想をだらだら書きます。元ネタはtogetterでまとめられている「ATBミステリ映画」(オールタイ…

アニメ『神無月の巫女』とクロスカッティング

アニメ『神無月の巫女』(2004年)は、月の巫女である姫宮千歌音と日の巫女である来栖川姫子が主に悪い人たちと戦う、神話だかロボットアニメだかわからないけど、とにかく千歌音が姫子のことを好きでしょうがなくで、姫子がどうしたらいいのかな、って聞い…

映画『インターステラー』はなぜ3Dじゃないのかに関するメタ解釈(ネタバラあり)

映画『インターステラー』(2014年)はクリストファー・ノーラン監督による宇宙を主な舞台にした嫌な未来(ディストピアとはちょっと違う)のSF映画です。最後は一応ハッピーエンドだけど少し無理やり。 主人公で元宇宙パイロットで農業やってる人がいきな…

文化祭(学園祭)の出てくるアニメでは今まで見たアニメの中で二番目ぐらいに面白かった『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』

どうもいろいろ集中できないので、ブログサボってアニメ見ることにしました。 引き続きひどいのは言及しないようにするのは、本や映画と同じですが(ひどい感想は、ときどきアニメの感想サイトで書いてる)、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(…

視点(視野)の撮り方が狭い気がするクリストファー・ノーラン監督(インソムニア)

映画『インソムニア』(2002年)はアラスカ州を舞台にした犯罪(警察)映画で、主人公は中年のロス市警警部で、辣腕ながら少し強引な取り調べが警察の内務調査の対象になっている男性です。 湖を中心に、広大で荒涼としたアラスカの自然が舞台に描かれるわけ…

「醜聞」は「すきゃんだる」で「理由」は「わけ」で「時刻」は「とき」でもたいした問題じゃない

醜聞殺人事件(すきゃんだるさつじんじけん)。 理由なき反抗(わけなきはんこう)。 狼の時刻(おおかみのとき)。 これ以外にもいろいろあります。「刑事(でか)」とか。 問題は「日本」を「にっぽん」と読むか「にほん」と読むか、気になって仕方がない…

だいたいクリエイターは45歳前後で一番いい仕事してる(黒澤明ほか)

黒澤明…44歳で映画『七人の侍』(1954年) 宮﨑駿…45歳でアニメ『天空の城ラピュタ』(1986年) 手塚治虫…45歳で漫画『ブラック・ジャック』の連載開始(1973年) 小松左京…ちょっと早くて42歳でSF『日本沈没』(1973年) 谷崎潤一郎…46歳で『細雪』書きは…

真知子巻きの起源は映画『君の名は』第二部から、って書いてあったけど、第一部の冒頭で真知子さん頭に何か巻いてます

映画『君の名は』はラジオの大ヒットを受けて1953年の秋から1954年の春にわたって3部作として公開され、やはり大ヒットしました。話の内容は延々とすれ違いが続くのかと思ってたら、第一部の真ん中ぐらいで、出会ってから1年半後の昭和21(1956)年11月24…

映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(2012年)で変なのは瑤子夫人の服と三島由紀夫邸

今頃の寒い時期になると三島由紀夫のことを思い出します。 別に生きていたときの三島由紀夫を知っていたわけではありませんが、いやはやもうとにかくびっくりするような事件だったらしいことは想像できます。 歴史上の人物で中二病をこじらせて死んじゃった…

話の舞台の虚構度が過ぎるとそれは作者の脳内世界(メタ物語)なのかと思いたくなる(ご注文はうさぎですか?)

アニメ『ご注文はうさぎですか?』(2014年)を見はじめました。 この物語は「木組みの家と石畳の街」で展開する、日本の高校生みたいな子が主役で、彼女が下宿している喫茶店が主な舞台になっていて、虚構度が高すぎて今まで見たこの手のぬるぬる女子アニメ…

9分割式記憶連想型アイデアメモアプリ(アイデアモザイク)

ひとりブレーンストーミングとして以下のようなものがあります。1・5×3インチサイズの無地の図書館カード(っていうのかな)を用意します。今でもコレクトって会社が売ってる2・その1枚に縦横2本ずつ線を引いて9つのマスを作ります3・真ん中に何かを…

漫画編集十訓

いろいろなものを捨てていたら、誰かにもらったこんなのが出てきたので、せっかくなのでブログに載せてみます。 漫画(漫画)に関する、主に編集者サイドから見た創作上の注意なんだろうけど、別に読者・漫画家その他何か娯楽的なものに興味がある人・何かを…