砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

剣の達人ではないことを示すためには剣の達人でなければならない(ラストサムライ)

映画『ラストサムライ』(2003年)は、素晴らしい黄金のクソ映画です。 物語は1876年の初夏、南北戦争のついでにインディアン(アメリカ先住民)を虐殺したネイサン・オールグレン大尉は、リトル・ビッグホーンの戦いでボロ負けしたあと、ウィンチェスター社…

ロックと長唄とか都々逸

俳句のリズムは5・7・5ですが、これを「うんたん」で表現すると「たたんたん(うん)・たたたんたたん・たたんたん(うん)」になります。 つまり、4拍子が3つ。 短歌の場合は4拍子が5つなので、どうもどちらも塩梅が悪い。 都々逸は7・7・7・5な…

小さな棚を一つ作りました

図書館で借りてる本を並べる用。 ここに並べると、ちょっと頑張って読もうかな、という気になるのです。 ぼくが利用している図書館は、2週間で30冊の本と10枚のCDが借りられます。 家にいるときは分厚い本を読んで、外に出るときは軽い新書か文庫本を読む…

映画に女性の視点が入っているかどうかに関して、パックン(パトリック・ハーラン)が語った3つのチェックポイント(ベクデル・テスト)

どうもラジオで聞いただけなんで、正確ではないと思うんですが、こんな感じ。1・名前がある(キャラづけがしてある)女性が複数出ているか2・女性同士の会話はあるか3・その会話の内容は、男性に関する話以外のものか これは日本のアニメの場合、『ガール…

ヘルマン・ヘッセ『デミアン』の人名表記(デューン)

フランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』(原書は1965年、ってもう半世紀も前か)の、 酒井昭伸による新訳が出てました。 ハルコネンとかハルコンネンとかはどうでもいいんですが、コーランはさすがにクルアーンには今さら直せない。 それで思い出した…

ゆるく募集・スタッフロール(クレジットタイトル)が左から右(もしくは右から左)に流れている映画(スター・ウォーズ)

映画の製作者・出演者は、今は映画が終わってから全員の名前を出すようになりました。 それも、ぼくが最近見た映画では洋画・邦画関係なく「下から上」へ流れるクレジットタイトル。 巻かれるからロールというわけで、巻かれていない映画もそれなりにありま…

怒っている人間の視点を出すためには怒られている側を見せないとだめ

映画の中で怒っている人を写しても、そこには「怒っている人」がいるだけで、その人に感情移入できるかどうかは、「怒られている人」を映画の中で見せないといけません。 つまり、怒っている人は、現実の世界では怒られている人しか見れなくて、怒っている人…

黒澤明の映画の視点(黒澤明の映画術)

樋口尚文『黒澤明の映画術』(1999年、筑摩書房)は、黒澤明の映画の技法についてのみ的を絞った本で、その中では「アクション」「マルチカメラと望遠レンズ」にはじまり、「音楽」「音響」で終止する各種の演出が語られます。 作品評・役者評はまったくなく…

映画の歩く速度とフィルムの速度(遠い雲)

映画は1秒24コマで、フィルムの長さは35ミリの通常のもので1.5フィート(0.4572メートル)です。要するに16コマで1フィート(0.3048メートル)。 人間の歩く速度は、1分80メートルで不動産業界は計算しているので、1秒1.33メートル(約4.36フィート)かな…

『魔術師が多すぎる』(ランドル・ギャレット)で納得できない3つのところ

(今回はネタバレを含んでますのでご注意ください) ランドル・ギャレット『魔術師が多すぎる』(翻訳刊行は1971年)は、魔法が存在する世界で起きた密室殺人事件で、被害者は世界魔術師大会で新しい魔法を発表する予定のえらい人、容疑者はちっちゃいけどハ…

単なる背景だと思っていたものが物語の中にからむ美しさと日付の問題(雨月物語)

映画の中で意味がなく写っていたものにいきなり意味が与えられるシークエンスで多分一番有名なのは、映画『シベールの日曜日』(1962年)の「風見鶏」だと思います。 これはあまりにもケレンが過ぎているので、多分みんな、この映画を見た人はこの場面だけは…

薬を飲み過ぎてる人のために

なんにでもよく効く薬というのがあるのですが、これを飲む際には同時に、副作用として胃が痛くなるので、胃が痛くならない薬と、それの副作用である眠けを抑える薬と、すべての副作用を抑える薬を飲む必要があります。 問題は、すべての副作用を抑える薬を飲…

女子学園忠臣蔵

元禄学園は中高一貫の女子校であります。 合唱部の高等部一年生・浅野内匠子は、二年になる前の春休み、3月14日、かねてよりの遺恨ということで、松の廊下で演劇部の同学年生・吉良上野子に斬りかかり、頭にきた生徒会長の徳川家綱子は高等部における合唱部…

清水宏『簪(かんざし)』(1941年)のぬるいシークエンス(カット)と日付について

清水宏『簪(かんざし)』(1941年)は、街道を行く蓮華講(という名前の講中)とそのメンバーの女性ふたりの、長いシークエンスからはじまります。 ヒロインの太田惠美とその友だちのお菊は、だらだら話したあげく山梨県の下部温泉(実際に撮影されたのは那…

ゆるく募集・テレビアニメの、主にシナリオ分析に使えそうなアニメ

以下の条件に当てはまるものです。・話が普通におもしろいこと(つまらないと嫌になります)・男女の群像劇であること(ハーレム系とか女子ばかりのものは一応除きます)・日常の学園ものであること(SFとか変な設定で特殊用語が多出しているものは自分の…

山根貞男の日本映画時評で役に立つのは、この人が当時どの監督と仲がよかったかがわかるところだけ

山根貞男『日本映画時評集成2000-2010』(2012年、国書刊行会)は、ゼロ年代の日本映画を山根貞男氏の視点から見たものですが、丸谷才一の書評と同じく3分の1ぐらいは読者ではなく監督(作者)のために書いているような気がして仕方がないのが困ります。 …

彷徨老人の話とソクラテス

これはミルチャ・エリアーデというルーマニアの宗教学者(というか、日本では作家としても有名な人)が、その先生から聞いた話を、丸谷才一が書いているものです。要するにぼくのテキストは曾孫引きぐらい。 エリアーデの先生がテオドール・モムゼンという歴…

目玉焼きと王様

昔読んだ本(童話)の話です。 召使いや兵士に囲まれて、城の中で退屈に暮らしていた王様がいました。 朝食を食べたあと、晩の食事は何がよろしいでしょうか、とコックに聞かれた王様は「目玉焼き」と答えました。 その後、特にすることもない王様は、にわと…

(番外)本日は記事は休みです

個人的な事情により、本日は記事は休ませていただくのです。すみません。 これは、試しにスマホで書きました。 別の日に記事追加するかもです。

三本立ての映画館

今はそんなものは極めて珍しいものになりましたが、昭和の時代にはそれなりの都市には、ロードショーから落ちた作品を2~3本立てで流す映画館、いわゆる名画座というものがありました。 だいたい映画は午前9時から10時ごろにはじまり、2本目を見ながらあ…

60秒で終わる話を20本作って、それを13倍すればワンクールのアニメになるかと言えばならない

60秒で終わる話は、文字数にして400字ぐらいで、ツイートなら3回で420字になります。 毎日9ツイートぐらいならつぶやけるだろうから、それを1週間やればテレビアニメ1回分になります。 ただ、4コマ漫画って、普通に書くだけなら30秒ぐらいなのよね。 漫画の…

社会派小説みたいな泉大八「アクチュアルな女」のオチについて

これは昭和35年の話であります。 東京近郊の某市・某中学校で理科を教えている伊吹先生はオシャレで美人の、なかなかいかしたモダン・ガール。 それが安保デモに行った際、ついでに証券会社にでも寄ろうと持って行った黒いバッグと、その中の1千万円ぐらい…

向かって左側の後輩に話している主人公が、右から来た先輩に向きを変えて話すアニメが好き(ラブライブ!)

それは『ラブライブ!』(2013年)の最終話、神社の階段のところのシークエンスです。1・まず階段を登る小泉花陽が映って、それに画面の向かって左側から星空凛が「かよちん遅いよ~」と話しかけます(ふたりは一年生で友だち)2・「久しぶりだときついね…

年間の読書目標は冊数じゃなくてキログラムで決めよう

年頭にあたりまして、今年の本を読む努力目標を100冊とか1000冊とかした人もいるんじゃないかと思います。 しかしどうも本というのは文庫と単行本で字数が違うし、文庫本同士、単行本同士でも字数が違うので面倒くさい。 そもそも人間って一年かけるとどのく…

市川崑の映画に関する本人の一言集・8(『四十七人の刺客』の続きから『犬神家の一族(2006年)』まで)

引き続き『完本・市川崑の映画たち』(市川崑+森遊机、洋泉社、2015年)の中から、自作の映画に関する市川崑自身の話を引用してみます。 引用は大変大ざっぱなものなので、この本そのものを読んで、さらに市川崑監督の映画を、見れるものがあったら見ること…

市川崑の映画に関する本人の一言集・7(『ビルマの竪琴(1985年)』から『四十七人の刺客』まで)

引き続き『完本・市川崑の映画たち』(市川崑+森遊机、洋泉社、2015年)の中から、自作の映画に関する市川崑自身の話を引用してみます。 引用は大変大ざっぱなものなので、この本そのものを読んで、さらに市川崑監督の映画を、見れるものがあったら見ること…

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のいいところは、ワイプをちゃんとやっているところ

ワイプというのは、場面転換をする際に、画面のヨコとかタテとかからカーテンが引かれるみたいに変わる技法で、昔の白黒映画や、白黒時代のテレビによく使われていましたが、最近はほとんど見なくなりました。 この技法が特徴的なのは黒澤明監督で、『スター…

市川崑の映画に関する本人の一言集・6(『悪魔の手毬唄』から『おはん』まで)

引き続き『完本・市川崑の映画たち』(市川崑+森遊机、洋泉社、2015年)の中から、自作の映画に関する市川崑自身の話を引用してみます。 引用は大変大ざっぱなものなので、この本そのものを読んで、さらに市川崑監督の映画を、見れるものがあったら見ること…

川島雄三『とんかつ大将』(1952年)の、謎で美しい演出について

川島雄三監督の『とんかつ大将』は、浅草の下町を舞台にした、実によくできた話です。 昭和20年代のとある年の瀬、隅田川の川端の道を急いでいた車が、だるまを積んだ荷車にぶつかります。あっという間に路上に赤だるまが、カラー映画だったら色美しく広がる…

市川崑の映画に関する本人の一言集・5(『トッポ・ジージョのボタン戦争』から『犬神家の一族』まで)

引き続き『完本・市川崑の映画たち』(市川崑+森遊机、洋泉社、2015年)の中から、自作の映画に関する市川崑自身の話を引用してみます。 引用は大変大ざっぱなものなので、この本そのものを読んで、さらに市川崑監督の映画を、見れるものがあったら見ること…