砂手紙のなりゆきブログ

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柱や仕切りその他縦の線に意味を持たせたくない場合は、その線に重なるように人物を撮る(ハドソン川の奇跡)

 実写の映画は、アニメと違って背景や手前の小道具をごまかし切るということができません。つまり、普通に室内なら壁やドア、屋外なら木立やビルといった「縦の線」が入ってしまいます。「横の線」はまあ、入らないことはないんだけどそれなりにごまかせるんだけど、もう一度気になりはじめると鬱陶しくって仕方ないんですよ、この「縦の線」という奴は。
 会話をしている人物の間に入る、横に入る、一本だけじゃなくて複数入る、とかもう、もうもうもう。
 今のところそれを意識しはじめてから見た映画で一番うまく処理しているように思えた映画は佳本周也監督の『少年ギャング』(2012年)だったんですが、そんな、誰が知ってるかみたいな映画はともかく、えーっ、と驚いたのがクリント・イーストウッド監督『ハドソン川の奇跡』(2016年)。
 この映画は、ハドソン川に緊急水着陸した飛行機事故で有名な話(USエアウェイズ1549便不時着水事故)を元に作られた、最近の映画にしてはとても短い、96分の映画で、主役の機長をトム・ハンクスが演じています。
 で、そのラストはどういう感じかというと、事故調査委員会で、これはもっとすごい事故になりかねないところを、機長の腕でなんとかした、ということが認められて、副操縦士と並んで笑顔になるふたりのショット。

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 ね、わかるでしょ。会議室の背景が2色のパネル(黒と茶色)になっていて、そのつなぎ目の「縦の線」に人物が重ならないように撮ってる! え、言われないとわからないって、まあそうだよね。