砂手紙のなりゆきブログ

KindleDPで本を出しました。Kindleが読めるデバイスで「砂手紙」を検索してください。過去テキストの一覧はこちら→http://d.hatena.ne.jp/sandletter/20120201/p1

2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘッドホンの右と左がわからない

環境的にすごいオーディオ・ルームとか持ってる人じゃないので、映画・音楽など音が出るものはヘッドホンで聞いてます。それもめちゃくちゃ安い奴。こんなので聞くのは製作者に申し訳がない、というレベルのしろものですが、特に不自由は感じてない。いい音…

伊福部昭の偽装記憶と「宇宙大戦争マーチ」(吉志舞)

伊福部昭自身が自分の映画音楽について語っている『伊福部昭語る-伊福部昭映画音楽回顧録-』という本を読みました。 この中で語られていることと、ウィキペディアその他で書かれていることの記述が違ってるのはどうなってるんですかね。 伊福部昭が木製飛…

酸性の反対なのだの中性紙

19世紀は科学技術の進歩の時代なので、20世紀に発展する技術のほとんどはその時代に工夫・考案されまして、安価に紙を製造する(大量生産する)方法もそのひとつでした。 1840年、ドイツのフリードリヒ・ケラーが、製紙原料に(今まで使われていたぼろきれに…

いろいろ疲れる映画『トゥルー・グリット』(検索しないでください)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) 映画『トゥルー・グリット』(2010年)という西部劇を見ました。『勇気ある追跡』(1969年)のリメイク版ということなんですが、オリジナルについてはなんかこう、ジョン・ウェイ…

コンビニの店員と図書館のカウンター係がしてはいけないこと

学校の先生の大切な仕事は生徒の顔と名前を覚えることで、アニメの制作進行の大切な仕事は声優の誕生日を覚えてその日にサプライズを用意することで、コンビニの店員と図書館のカウンター係の大切な仕事は常連客(利用者)の顔を覚えないことです。 コンビニ…

ルソーと大航海時代(社会契約論)

ジャン・ジャック・ルソーは18世紀フランスの思想家で、単なる哲学者の枠を越えた多芸多才の人でした。膨大な量の書物と当時の一次資料から世界の文明・文化を見渡していると彼は、さまざまな異なる文化の中であっても「理由なしに人を殺してはいけない」と…

図書館職員の仕事は図書館職員を増やすこと(新版図書館の発見)

前川恒雄・石井敦『新版 図書館の発見』(NHKブックス、2006年)を読みました。『図書館戦争』以来わりとこの手の本を読んでみることにしています。要するに「図書館とは何か」みたいなことについて書いてある本いろいろ。 前にも述べましたが、現在(201…

さだまさしとタモリ(戦後日本歌謡史)

みなさんはさだまさし、好きですか。ぼくは嫌いではありません。小田和正と比べたら好きなほう。 一番人気があった時代は多分1970年代後半だと思うんですが、なんかさだまさし好きって言うのは若山牧水を好きって言うのと同じぐらい恥ずかしいかもしれない。…

さだまさし「防人の詩」って本当に防人の人が作ったの?(二百三高地)

映画『二百三高地』(1980年8月)を見ました。だいたい日本の戦争映画は夏に公開されることになっていて、『八甲田山』(1977年6月)もそうなんですが、夏より冬~春にかけての感じがよく出ているような気がします。お正月に公開される戦争映画は夏~秋に…

西部劇映画その他と偽の記憶

1930年代前半のハリウッドにおいては、西部劇(ウエスタン)というのは次第に衰亡していったジャンルでした。ギャング映画がフィルム・ノワールに変わったように、西部劇も1940年代を中心に流れを変えることになりますが、みんなが知っている「ホース・オペ…

映画『サリヴァンの旅』(1941年)の笑いどころ

プレストン・スタージェス監督作品の映画『サリヴァンの旅』(1941年)は、喜劇映画監督として成功したジョン・L・サリヴァンが、社会派映画を作りたいと思ってハリウッドを飛び出し社会の勉強をするというある種メタ設定になっている映画ですが(冒頭の映画…

艦これ(艦隊これくしょん)に対抗して原これ(原子炉これくしょん)とかどうかな

日本には現在48基の原発があるので、これを使います。 北海道の泊3姉妹から鹿児島の川内姉妹まで(けっこうきょうだい多い)。 加圧水型軽水炉は女子校、沸騰水型軽水炉は共学。もんじゅさんだけちょっと難しいですね。 出力がだいたい体型決める。プルマー…

光瀬龍『百億の昼と千億の夜』の惑星開発委員会はアニメの製作委員会みたいなもの

生命が住む惑星を作るのは神様で、映画を作るのは映画監督で、面白いものができると宇宙で何かを見ている人は作った人と作らせた人(人じゃないけど)に何か報酬を払って、儲かったクライアント(プロデューサー)はまた同じ、もしくは別の神様に惑星開発を…

ヌーヴェル・ヴァーグを支えたプロデューサー(ジョルジュ・ド・ボールガールとピエール・ブロンベルジェ)

映画『ピアニストを撃て』(1960年)のオーディオ・コメンタリーで、撮影監督だったラウル・クタールは以下のようなことを述べています。『ヌーヴェル・ヴァーグといえば監督が中心になるが、二人の製作者がいたからうまれたんだ。ボールガールとブロンベル…

謎の長髪で一見万能感あって世界を変えてみたがる口だけ野郎が出てくるアニメはもう飽きてきた(UN-GO episode:0 因果論)

(今回はタイトル作品のネタバレになっている部分もあるのでご留意ください) アニメ『UN-GO』は坂口安吾の『明治開化安吾捕物帖』という探偵小説を元ネタに、超警察国家になった架空の近未来を舞台にして良改変したアニメで、ぼくの記憶では原作は探偵役の…

プロデューサーのお仕事(ウォルター・ウェンジャー)

蓮實重彦と山田宏一の対談集『傷だらけの映画史』(2001年中公文庫)は、ビデオコレクションの「リュミエール・シネマテーク」のおまけ小冊子として世に出されたテキストをまとめたもので、非常に(この手のものがお好きなかたには)刺激的な本でした。映画…

東京都23区の区立図書館の利用条件(2014年6月現在)

利用してみたいと思う人のために作ります。主に貸出してくれるか(利用カードが作れるか)どうかについて。 どの図書館も運転免許証その他住所が確認できるものが必要です。 あとだいたい、2年間使ってないと再登録が必要みたい。 一応利用者の制限がゆるい…

ヴァンプ映画がヘイズ・コードのせいでスクリューボール・コメディになったという説(ノワール文学講義)

諏訪部浩一『ノワール文学講義』(研究社、2014年)という、映画とミステリーが好きな人なら多分面白いと思うような本を読んでます。著者は前に『「マルタの鷹」講義』(研究社、2012年)という本で日本推理作家協会賞を受賞した人です。 冒頭の「黒い誘惑 …

映画史と自分史もしくは教養主義と面白主義(蓮實重彦)

映画を楽しむには面白がるだけでいいんですが、映画を語るにはどういうアプローチをするか考えないといけないわけで、これは小説の場合と同じです。田山花袋や野間宏が退屈でつまらなくても(ちょっと例を出してはまずいですかね、すみません)、文学史的な…

スクリューボール・コメディの起源と定義(ローマの休日)

加藤幹郎『映画 視線のポリティクス』(1996年、筑摩書房)は、1934年にはじまり1968年に廃止されたアメリカの映画製作倫理規定(いわゆるヘイズ・コード)の翻訳が載っている本ですが、その第一章は「検閲と生成 スクリューボール・コメディ論」ということ…

アニメの中で「暑いニャー」とか言ってる人は空調止めて猫のきぐるみ着て熱演して欲しい(スケッチブック ~full color's~)

アニメ『スケッチブック ~full color's~』(2007年)は、福岡の太宰府高校(ってはっきり出てはいませんが)の美術部員である1年生・梶原空(かじわらそら)を主人公に、美術部の仲間や友人たち、それに猫たちの日常を描いた癒し系アニメです。監修が佐藤…

エド・ウッドは本当に映画業界で最低の映画監督なのか(エド・ウッド)

重政隆文『映画の本の本』(松本工房、2002年)では、町山智浩・編『エド・ウッドとサイテー映画の世界』(洋泉社、1995年)に言及する形で、エド・ウッドを最低映画監督にすることに関して疑問を呈しています。 その中の記述を整理して以下に述べます。 ま…

映画は映画館で見ないと渋い顔をされた20世紀末(映画の本の本)

重政隆文『映画の本の本』(松本工房、2002年)というとても面白い本を読みました。 これは当時手に入れることができた映画関係の鑑賞・批評本に関してときどきかなり批判的に紹介しているメタ映画本です。 彼の主張は「映画は金出して映画館で見ろ」という…

演技をしないはずの笠智衆の熱弁にびっくりする(海の花火)

映画俳優の笠智衆は演技をしない(正確には、映画監督の望んでいる以上の演技をしない)ことで有名な人でした。今見るとリアリティがあるのかないのかさっぱりわからない小津安二郎の映画作品で、彼は映画のセリフを不器用に、しかししっかりと口にしますが…

文学業界における「第三の新人」は映画『第三の男』が起源

ちょっとこの件に関しては調査中です。。 ニーチェの超人思想が当時のフランスの新聞小説に由来している、というグラムシの説(これについても語ると長くなるんで、ネットで「宗教の物語性」ってテキスト探すか、グラムシ著作集をお読みください)よりは本当…

星新一のきまぐれ度(気まぐれ指数)

星新一といえば「きまぐれ」ですが、この表記に関しても1960年代中ごろには混乱がありました。 ショートショート集の『きまぐれロボット』ですが、どうも理論社の童話として出されたとき(1966年)は『気まぐれロボット』って表記だったみたいなんですよね。…

ヒッチコックの無声映画に適当に音楽を入れてみる(ショスタコーヴィチ)

ヒッチコックの無声映画の映画に入っている音楽はやたら音がうるさいうえ、製作的には音なんてなくてもみられるようにしていたと思うので、適当に音入れてみましたが、どうもうまくいかない。 なんかサスペンスっぽい音楽がうまいこと手元にないからだろうな…

ヒッチコックは役者に考える演技をさせない人でした(引き裂かれたカーテン)

ヒッチコックはトリュフォーとの対談集『映画術』のなかで、『引き裂かれたカーテン』について以下のように述べています。『わたしの気に入らなったのは、ポール・ニューマンの演技だ。きみも知ってのとおり、ポール・ニューマンはアクターズ・ステュディオ…

ヒッチコックの映画は劇伴を抜きで見よう(バーナード・ハーマン)

ヒッチコック監督の1950年代後半から1960年代前半にかけての名作は、バーナード・ハーマンが映画音楽を担当しています。具体的には『ハリーの災難』(1955年)から『マーニー』(1964年)までの8本で、『引き裂かれたカーテン』(1966年)の映画音楽で意見…

ヒッチコック『めまい』の主人公って本当に高所恐怖症なの?

ヒッチコック監督作品の映画『めまい』(1948年)は、刑事だったジョン・ファーガソン(通称スコティ)が高所恐怖症になったので退職して、友人のエルスターによる妻マデリンの謎の行動に関する調査依頼を受け、いろいろする謎と犯罪と恋愛の映画です。 ただ…