砂手紙のなりゆきブログ

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星新一のきまぐれ度(気まぐれ指数)

 星新一といえば「きまぐれ」ですが、この表記に関しても1960年代中ごろには混乱がありました。
 ショートショート集の『きまぐれロボット』ですが、どうも理論社の童話として出されたとき(1966年)は『気まぐれロボット』って表記だったみたいなんですよね。少なくとも国会図書館その他の検索ではこれがヒットするし、画像も個人サイトなどでは確認できます。
 エッセイ集の『きまぐれ星のメモ』(1968年)から「きまぐれ」って表記にして、『きまぐれロボット』はタイトル直しちゃったみたいです。
 ということで、現在「気まぐれ」でみつかる星新一の本は『気まぐれ指数』(1963年)だけのようであります。
 話の内容は、当時流行していた獅子文六的家庭風新聞小説の流れに対抗して書かれた新聞小説で、いくら読んでもキャラクターが頭の中に確立されて来ない。5年ぐらい経ったらだいたい忘れる。星新一の小説はたいがいそうなんですけど、これは格別です。
 星新一の「気まぐれ」は、映画『気まぐれバス』(1957年)から来ていると思うんだけど、自信ない。
 日本の小説業界(文壇)における「第三の新人」の起源は映画『第三の男』(1949年。日本公開は1952年)に由来してるのは間違いないんですけどね。これについてはまたあとで書こう。
 なんか小学校低学年用の漢字制限とかで「気」っての使うの避けたのかと思ったら、「気」は小学1年生、「星」は2年生で習う漢字でした。
 でも『さあ、気ちがいになりなさい』と、翻訳の「気ちがい」は漢字使ってますね。