砂手紙のなりゆきブログ

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アンデルセン「マッチ売りの少女」はどうやったらもっと売ることができたのか

 デンマーク童話作家アンデルセンが1848年に発表した「マッチ売りの少女」は、大晦日の夜に売れなかったマッチを燃やして幻覚を見ながら少女が凍死する話です。今の日本なら幼女が裸足で幻覚の見れるマッチ売ってるってだけでバカ売れな気もするんですが、マッチ売りの少女の供給と需要の問題ですかね。
 なお、少女が売っていたのは「壁にこすりつけると火がつく」という描写があるんで、毒性の高い白鱗(黄燐)マッチですかね。マッチすって危ないものを見る、これが本当のリン死体験と申しまして…。
 現在使われているものとほぼ同じような、箱の横にあるヤスリに赤燐を、マッチの先に塩素酸カリウムをつけ、こすりあわせて発火させる赤燐マッチ(安全マッチ)は、1852年スウェーデンのヨンコピング社のルンドストレームによる発明で、その後かなり長い間マッチはスウェーデンの産業の一つでありました。
 アニメとかで今のマッチみたいに火をつけてる「マッチ売りの少女」があったら、あまり時代考証とか考えてないと思う。
 マッチが売れてたら普通に少女は家にお金を持って帰って死ぬこともなかったんですが、なんであんなにマッチ誰も買わなかったんでしょうかね。
 考えどころとしては、マッチが売れるようなところで売っていなかったとしか思えない。
 大晦日だし、新年は酒飲んで迎えようぜ、なんて考えてる繁華街の酔っぱらいに売ればすぐに完売しそうなものですが、縄張りとか利権とかあるんだろうな。
 マッチ売り組合も当然あって、デンマークのマフィアとかヤクザみたいなものがからんできて、すごくややこしいことになりそうな話なんだけど、アンデルセンはそんな方向の知識ないだろうし絵本とか童話じゃなくなる。
 しょうがないので、どうやったらあの少女はマッチを売ることができたのか、考えてみます。

・古くする
 「新しい年には新しいマッチを。去年のマッチは捨てましょう!」
・安くする
 「他では1箱100円(当時の価格単位がよくわからないので、日本円にしてみました)のものが、3箱200円!」
・限定する
 「初回限定版!」
・並ばせる
 「最後尾です!」
・有名人の名前を使う
 「伊丹十三も絶賛している、強風の中でも消えないマッチ!」
・サンプルを配る
 「10本セットの試供マッチ配布中です!」
・揃わせる
 「富嶽三十六景マッチ! 次は東海道五十三次マッチ!(これは本当にあったらしい)」
・特典をつける
 「握手券つき!」
・レアにする
 「水着ラベルはレアだけど、女豹のポーズラベルは激レア!」
一番くじ
 「箱買いのお客様はお一人様一箱限定です!」
・アニメ化
 「アンデルセン物語、アニメになりました!(ちなみに最終話です)」

 商品の新技術や価格で競えない場合は「付加価値(マッチの場合はラベル)」で競う、ということになりそうです。
 俺が考える一番いい方法は、ラベルのスポンサーを見つけて、広告料で稼いで、マッチをただで配る、かな?
 そのかわり数百人の他のマッチ売りの少女が凍死する。
 野坂昭如マッチ売りの少女」は、マッチが燃えてる間だけ少女が股間を見せるという商売で(本当に昔はあったらしい)、これは需要が想定できますね。