砂手紙のなりゆきブログ

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横山秀夫『64』が去年の本屋大賞2位なのに平積みで置いてないっていうのは、多分タイトルが悪かったんじゃないかと思った

 本屋大賞本屋大賞実行委員会が企画運営する2004年からはじまった賞で、書店員による「売りたい本」というのを基準に、日本の小説・翻訳小説の中から(翻訳小説は2012年より設けられました)選ばれている賞です。選ぶのは書店員で、売るのも書店員ということなので、「売れている本」「(出版社が)売りたい本」とは違って、毎年なかなか面白い選択になっていると思います。
 この賞に対して作家の海堂尊は、「海堂ニュース」という自分のサイトテキスト、2014年2月24日「読まずに当てよう、本屋大賞。」でいささか批判的に(アイロニカルに?)言及しています。その中で彼は、

『昨年の受賞作『海賊とよばれた男百田尚樹(著)(278.0点)はほぼ一年中、本屋の平台を占拠し続けました。でもその裏で本来なら平台に置かれるべき本が乗りそびれたということです。なので出版界をますます低落させていくことになるでしょう。
 その証拠が、昨年2位 『64』横山秀夫(著) (266.0点)です。
 ここ三年の本屋大賞候補作で私が唯一の既読作品だった『64』は素晴らしい作品でしたが受賞できませんでした。その結果『64』は本屋大賞が終わった一ヶ月後の五月には、平台からほぼ姿を消していました。大賞とたった12点差しかないのに。』

 と述べています。
 本屋大賞に限らず、受賞作以外の候補作(2位以下の作品)というのはあまり話題にもならず、新人賞の場合は出版されることもなく忘れられていくんですが、そういうもろもろの賞の中では比較的本屋大賞は受賞作以外にも恵まれているんじゃないかと思います。ベスト10の作品の多くは映画化・テレビドラマ化・アニメ化されており、『64』も平台では置かれてはいませんが、たいていの書店の棚差しには置かれています。
 ただどうも、過去のベスト10作品と比べるとこの本の印象が弱いのは、「タイトルでうまく検索できない」というのがネット時代の弱点だったんじゃないんでしょうか。
 読んだ人の感想とか、使った人の意見を聞いて参考にするのに「○○ 感想」で検索するのは今は基本です。テレビで食べ物屋が紹介されてたらスマホで検索して評判みますよね。『64』に関しては「64 横山秀夫 感想」で検索しなければいけないところがやっかいです。
 しかしこれはまだ著者名を検索条件に入れて検索できるのでまだましなほうだと思う。
 アニメの『K』なんて、どうやって感想見つけたらいいのかわからない。
 とりあえず、『土』とか『鼻』とか、1字や数字の作品名はやめましょう。