砂手紙のなりゆきブログ

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『丸太町ルヴォワール』の龍樹落花には京ことば成分が足りない(ちはやふる)

 あんまり最近はミステリー読んでないんですが、『丸太町ルヴォワール』(円居挽、2012年講談社文庫)を読みました。もう最近は目が疲れるんで、小説なんて1日6冊も読むとヘトヘトですわ。
 落花、本当は男だったってオチじゃないのかよ! という微妙なネタバレはともかく、彼女に足りないものは京ことば成分です。生粋の京都の人間なら、法廷みたいなところで派手な着物見せびらかしてハッタリかましたりしない。ああいう傾いた芸は東男がするもんです。
 京ことば、それは千年に渡って洗練されつくした貴族語で、京の水を生まれた時から飲み続けて30年ぐらいでようやっとひとかたのものになろうという特殊言語。その意味を解読すると何も言えなくなります。
例1・「あんたほんまよう勉強しとりますなあ、大学の先生か何かですか」
例2・「うちみたいな年寄りと違って、若いもんはええどすなあ、どんなところでも素のままの格好で出られて」
例3・「こんなもん、証拠の品というのも恥ずかしいですが、せっかく揃えましたんで、お目汚しかと思いますが並べさせていただきます」
 こういう話しかたをする人は、アニメでは『ちはやふる』(2011年)のクイーン・若宮詩暢がいい例です。
14話「やめてください、クイーンやて、うち須藤さんに一回戦当たらなくてホッとしとるのに。でも団体戦で出場逃したのに個人戦へ出場やなんて、よほどかるたがお好きなんやねえ」
 円居挽さんは奈良出身なんですか。ええですねぇ、奈良は。古いもんようけあって。京都なんて先のいくさ(注:応仁の乱)でええもんみんな焼けてもうて。もう金閣寺なんか戦後の田舎大工のまがいもんです。法隆寺はええなあ、周りに高い建物なくて五重の塔すっきり見えはるし、中の壁画も有名な日本画家さんに描いてもろうて。