落語のオチとホラーの違い(紙入れ)
落語「紙入れ」は、「知らぬは亭主ばかりなり」の浮気者と人妻とその旦那の話です。
職人の浮気者は旦那の留守にあれこれやるんだけど、うっかりして自分の紙入れを浮気現場(人妻の家)に置き忘れてしまう。
旦那は浮気者の親方にあたる者なので、どうにも困っているその男を見て、男は「実は…」と、人の話のように自分のことを話す。
人妻は「大丈夫だよお、心配しなくったって、そんなことする人妻なんだから、ちゃんと懐に隠してあるに決まってるよ」と、自分の胸を叩く。
旦那は「そうだよなあ、旦那はそんなことに気がつかねぇ間抜けに決まってらあ」
と、ここでオチるのが落語のオチ。
で、桂小南その他上方の落語ではさらに続きます。
人妻「まったく、そんな間抜けの顔、一度見てみたいものやねえ」
旦那「見たいんか…こんな顔や」
と、最後で落語家は「こんな顔」をやる。
どんな顔か、というのは、解釈によります。
ぼくの判断では、このオチはホラーです。
ジャンルとして落語ということになっている「そば清」と同じようなホラー。