砂手紙のなりゆきブログ

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1960年代の上履き問題(Fate/stay night)

 アニメ『坂道のアポロン』は、1966-68(69)年の佐世保をかなり忠実に、というか呆れるぐらい正確に再現しているように思えます。カルピスの広告はちょっと無理ですが。
 たとえば、第1話で主人公の西見薫は1966年の初夏に佐世保東高校に転校してくるんですが、教室で読んでいる本は旺文社文庫車輪の下』で、これが1966年4月刊行なんですよ。そんなの調べる俺も俺だけど。
 ムダ知識として西見薫は同じ薫クンが出てくる青春小説『赤頭巾ちゃん気をつけて』と全く同学年で、卒業の年(1969年)は東大の入試が中止になった年です。なおかつ、『氷菓』の千反田えるの叔父さん・関谷純とも(彼が高2で高校中退しているなら)同学年です。ただ、俺の感じとしては1967年に高校の学園紛争的なものは少し早い気がする。これに関してはまた話すこともあるでしょう。
 それでですね、疑問なのは、この1960年代後半の高校生たちは、教室でも外でも同じ靴はいてて、いつまで見ていても「靴箱(下駄箱)」というものが出てきてないんですよね。
 まず最初に、主人公の相手役として、不良の川渕千太郎が靴を西見薫の後ろの席から前に投げ出します。これが運動靴。外でも教室でも、校舎の屋上でも講堂でも同じ靴。当時はスニーカーなんてものはないから、多分運動靴でいいと思う。
 第7話では川渕千太郎はザ・オリンポスという当時のビートルズの地元コピーバンドみたいなのに参加してドラムを叩き、この時は革靴。いつもの靴じゃないとやりにくいと思うんですが、ボーカルの貧乏設定の松岡星児以外は革靴です。
 電源が切れて西見薫のピアノと即興演奏やって、それがすごいってんでみんな見に来るんですが、全員外履きの靴のまんま。講堂の掃除どうするんだとか思いますよね。なおかつ、演奏終了後西見薫と川渕千太郎は、手を取り合って学校の外へ走っていきます。靴のまま。あり得ないです。
 少なくとも今の時代では、高校では「上履き」と「体育館用の靴」と「運動場用の靴」の3つがあって、上履きは各学年ごとに縁のところが違う色になってる恥ずかしいものを履かされていますよね? まぁ靴3種類は多すぎるけど、革靴で運動するわけにはいかないし、面倒くさい高校生は体育の授業がある時だけ運動靴で行くということはしてそうです。
 この原則に比較的忠実なのは京都アニメーションの作品で、『氷菓』では折木奉太郎たち1年生は「赤」、2年生は「緑」、3年生は「青」という恥ずかしい上履きを履いています。これは、学年が変わっても同じ色で履き続けて、1年生が2年生になったら、新1年生は「青」になるというのがさらに恥ずかしいです。文化祭の時でも同じで、ナコルル先輩はちゃんとそれっぽい上履き(コスプレ上履き)なんですが、伊原摩耶花はコスプレしててもいつもの上履きですね。
 そこらへん謎なのがアニメ『Fate/stay night』2話の屋上での遠坂凛です。
 彼女の高校はちゃんと上履き制になっているのに、アーチャーと一緒に日没まで屋上で敵(ランサー)の動きを待っている時には外履きの靴なんですよね。でもって、そこから校庭に飛び降りて、ええっ、とか思う。
 ここらへんは多分アーチャーに「最強のマスターであるあなたが学校の上履きとはw」と軽くからかわれて履き替えたんじゃないかと夢想しますが、みなさんはいかがでしょうか、ってそんなこと考えたりするのはぼくだけですよね。
 なお、アニメの中で「上履きというものがない学校」というのはそんなに珍しいものではなく、昨日言及した『魔法少女まどか☆マギカ』の見滝原中学も、『乙女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー』の聖應女学院も、上履きはありません。
 しかし、アニメ『きんいろモザイク』のOP、上履きのままつなぎ廊下から校庭へ駈け出してしまうのはどうかと思いました。
(これは前にTogetterでまとめたものを一部直したりしてブログテキスト化したものです)