『ゲーデル、エッシャー、バッハ』(1979年)の亀の性別の問題
ダグラス・R・ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』は、日本では1985年に翻訳されました。
この話の中には、アキレスと亀の対話などがありますが、この本のフランス語の訳者は困りました。
フランス語では「亀」は女性名詞なんですね。
で、できればミスターじゃなくてマダムにしたいんだけど、と著者に問い合わせしてみたら「いいんじゃないの?」という答だったので、世界各国では、まあ亀の性別はどっちでもいいことになりました。
元のアイデアとなった、ルイス・キャロル「亀がアキレスに言ったこと」の中の亀も、実は微妙に性別ごまかしてるらしいんですが、翻訳は柳瀬尚紀の訳で『不思議の国の論理学』が2005年に出ておりますんで、これはしっかりごまかした翻訳になっていると思います。
感覚的にはカメは男性名詞かと思ったけど、違うんですね。
ちなみにウサギが男性名詞。これも女性名詞のイメージがあるな。
日本語だと、こんな感じ。20周年記念版のP46
『亀 きみの論法はうなずけるね、アキレス。あのような旗がまったくもって不可能だってことには同意せざるをえない。しかしとにかくあれは美しいじゃないか』
なお、シェイクスピアのソネットは、Iとyou(thou)の性別が微妙にごまかされているので、実は同性愛の歌なんです、と、なかば本当のことを言ってみる。
嘘だと思ったら、「Shall I compare thee to a summer's day?(きみを夏の日に例えてもいいかな?)」で検索してください。
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