砂手紙のなりゆきブログ

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豊臣秀吉(木下藤吉郎)が清州城の三日普請を請け負ったとき、最後のギリギリのところで職人の組頭とどういう話をしたか

 豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だったころ、台風でこわれた清洲城の城壁の修理が全然進まないので、こんなの俺にやらせれば3日で修理してみせる、と織田信長に言って、うまいこと3日目の、それも、予定より早くできることになりそうだったので、木下藤吉郎は修理の組頭(現場監督みたいなもの)と、こういう会話をしました。

組頭「もう少し長引かせて、見物をはらはらさせた方が、効果がありますね」
藤吉郎「そうかも知れぬ」
組頭「あんまり早く出来過ぎたら興行価値がありません」
藤吉郎「では、もう少し長引かせてはらはらさせろ」
組頭「スリル満点でやりましょう」
藤吉郎「マジで!?」

 最後の藤吉郎のセリフは嘘だけど、「スリル満点」は川口松太郎『俺は藤吉郎』(1960年)に出てくる。
 川口松太郎『俺は藤吉郎』は、1954(昭和29)年から延々、6年間にわたって連載されたもので、戦後高度成長期以降の、金で解決する木下藤吉郎という要素もそれなりにあるんですが、戦後すぐの、戦争はもう嫌だと思っている木下藤吉郎が描かれている、なかなか面白い小説です。
 ただ、川口松太郎の時代小説って、架空の人物をメインにしたほうが面白いんだよね。雑誌・新聞連載の、適当ないい加減さ(史実にもとづいていない筋とキャラクター)がいい感じに出てて。
 あと、当時の小説の基本として、女性の扱いが、今の視点で見るといろいろおかしい。