砂手紙のなりゆきブログ

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長井龍雪監督のいちばんの傑作は『OVA とある科学の超電磁砲』(2010年)だ、とまでは言い切らないけど、どこがどのようにすごいのかちょっと説明してみる

 ぼくが信頼しているアニメ監督のひとりに長井龍雪監督がいます。彼のアニメのいいところはいろいろありますが、映画ではあまりできないような演出をアニメのなかでやってくれている例として『OVA とある科学の超電磁砲』のファミレスのショットをあげてみます。
 本当はまぁ、『とらドラ!』の川嶋亜美(かわしまあみ)が初登場するファミレスの話がいいかもしれないけど、ややこしすぎてものすごく長くなりそうなんでまたの機会にします。
 アニメ『OVA とある科学の超電磁砲』ではファミレス「josePh's」に、メインキャラクターの4人が集まって話をします。ポジションは通路側から見て左奥に初春飾利(ういはるかざり)、そのとなりに佐天涙子(さてんるいこ)。右奥に白井黒子(しらいくろこ)、そのとなりに御坂美琴(みさかみこと)ですかね。
 まず佐天涙子がこわい話をしますがまぁこれはちょっと略して、白井黒子の話すところから。

白井黒子1・「長期に渡る過度のプレッシャーが悪影響をおよぼし」(ここまで佐天涙子初春飾利が聞いてるところを撮す)
2・「はてはパーソナル・リアリティをゆがめてしまう危険性だってありますのに。ともあれそれが学園都市」(黒子がしゃべるところを撮す)
3・「気にしてもはじまりませんの(美琴・黒子の左ななめ後方から4人。ふたりは後ろ姿)」
4・「お姉様もどうかお気楽になさって」(おなじ構図で、黒子だけ美琴のほうを向く横顔。ここで見てて、ええっ、と思う)
5・「こんなことで常盤台のエースの看板に傷がつくなんて、もったいないですわよ」(話している黒子の顔を見ている美琴のバストアップ)
 つづいて、
初春飾利「そうですよ」
佐天涙子「気にしすぎ気にしすぎ」
 このあいだ、御坂美琴のいろいろな顔を撮してて、
御坂美琴「そう…そうよね…(笑顔)」
 で、風力発電の風車を撮して、
御坂美琴「みんな、ありがとう」

 こう話してても、どこがどうすごいのかうまく伝わらない気がしてきたけど、3から4へのつなぎとか、これ、シナリオ(台本)からアニメの絵にするときに、こんな風にするって、普通思わないですよ(演出は中島大輔という人なので、この人にも興味を持ちました)。たとえば「ともあれそれが学園都市。気にしてもはじまりませんの」ってところで風車とか卓の上とかいった、人物の顔以外のものを出してみたくなるんです。
 実写でこんなのあるか、とにかくしゃべるのが多いクエンティン・タランティーノで確認してみたい。
 ただちょっと不思議だったのは、佐天涙子さんって飲み物のグラスを左手で持ってますが、彼女、左ききでしたっけ。確認できるかぎりでは右ききかな?
 左ききの人は普通、飲食時には自分の左側に人を座らせません。右ききの人と手と手がぶつかりますからね。

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