砂手紙のなりゆきブログ

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スクリューボール・コメディの起源と定義(ローマの休日)

 加藤幹郎『映画 視線のポリティクス』(1996年、筑摩書房)は、1934年にはじまり1968年に廃止されたアメリカの映画製作倫理規定(いわゆるヘイズ・コード)の翻訳が載っている本ですが、その第一章は「検閲と生成 スクリューボール・コメディ論」ということで、プレストン・スタージェスの映画『凱旋の英雄万歳』(1944年)のシナリオから一般公開までを中心に、どのように当時の映画が作られていたのか、当時の検閲(というか自主規制)がどのようにおこなわれていたか、について語られています。
 そして著者は、「スクリューボール・コメディ」とはどのようなものであるか、について2つの定義を語ります。

『もっとも狭義のSC(スクリューボール・コメディ)は、大金持ちのわがまま娘と彼女に当初惹かれなかった変り者(スクリューボール)の男との戦いである』
『もっとも広義のSCは、愛の絆を深めるために戦われる両性間の風変わりな戦争ということになる』

 たいていの映画史では、スクリューボール・コメディフランク・キャプラ監督の『或る夜の出来事』(1934年)にはじまり、1940年代に円熟期を迎えて、1950年代に漠然と消えていったものとして語られます。要するにはじまりはヘイズ・コードと同じ年。
 映画『ローマの休日』(1954年)はその手の話の末期に作られたものなので、かなりそれらの要素を加味したメタな物語になっている気がしますが、多くの日本映画や少年・少女漫画はキャラクターを(なぜか)「おてんばで好奇心が強い女性(女の子)」と「根はいい人なんだけど不良」との組み合わせにして1950から60年代に大量生産し、21世紀にもその影響はぼんやりと残っています。アニメだと『しゅごキャラ!』(2007~08年)かな? このアニメに関して話すと長くなるので置いておきます。
 少女漫画だとアメリカの青春映画の影響もあるかもしれない。プレスリーが出てるような奴。
 スクリューボール・コメディの代表的監督であるフランク・キャプラは1897年シチリア島の貧しい家庭に生まれ、6歳のとき移民として家族とともにカリフォルニアに渡りました。
 同じく代表的監督であるプレストン・スタージェスは1898年シカゴの裕福な家庭に生まれ、家族とともに欧州をボヘミヤンな旅をしたあげく脚本家から映画監督になりました。