暴力映画にはアリフレックス(深作欣二とキューブリック)
映画『仁義なき戦い』(深作欣二)と『時計じかけのオレンジ』(スタンリー・キューブリック)は、フィルムやレンズなどの違いはあっても、カメラとしては持ち運びに容易な「アリフレックス35IIC」というカメラが主に使われました。
このカメラは1964年に作られたのでまぁ、アメリカン・ニューシネマの一部にはすでに使われていたと思いますが(実は1960年代後半から1970年代にかけてのアメリカン・ニューシネマは、新しい世代ではなく古くからのプロの技術者に支えられています)、1970年代が野外のエセリアル撮影(ロケ)としてもっとも多く使われていたようであります。
映画『仁義なき戦い』のときのカメラマン(ピント・マン)だった北阪清は、以下のように語っています(『映画撮影とは何か』山口猛・編、平凡社)
このころにはピント・マンになっていましたが、深作流カット、アングルというものがあって、手持ちが多く、アリフレックス2C型のサイレント・キャメラに10倍レンズをつけての撮影です。躍動的な画面で、それでシネマ・スコープでしょう。ピントの深度がないので、絞りは11か16。セットでは深度がオープンになっていました。
このころには日本ではまだステディカム使ってる人いなかったですかね。