砂手紙のなりゆきブログ

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映画『警察日記』には本当に取り調べ中にカツ丼が出てくるか

 映画『警察日記』(1955年)は、猪苗代湖畔の横宮という架空の町(実際には猪苗代町川桁あたりで、川桁駅周辺が出てきます)を舞台に、田舎の警察署長やその下の人情派警官、および様々な事件にかかわる人たちを出して、当時の貧乏と再軍備について考えさせられる映画です。
 地元出身で故郷に錦を飾る通産大臣を料亭で歓迎して、消防自動車が移動用に使われて、署に戻る途中で車が電柱に衝突して、料亭は停電になってろうそくを使ったらそれが倒れて料亭が丸焼けになり、その火が町中に広がって戦後復興は一からやり直しになる、というような映画ではありませんが(そこまでやるには予算がなかったんだろうな)、若い警官役の宍戸錠三國連太郎にはびっくりするし、森繁久彌は尺八吹くし、署長の三島雅夫は取り調べ後の母子と父に所長室で丼ものご馳走するし、いろいろいい話です。道とか橋とか、あのあたりの風景が素晴らしく美しいんだけど、グーグルマップで調べようと思っても分からなくて泣けてくる。
 で、いろいろな資料ではこの映画が「取調べ中に容疑者に刑事がカツ丼を食べさせて泣かせ、いろいろ白状させる」ってネタの最初のものということになってますが、見た限りでは違います。
 まず、食べているのは丼ものではありますが、カツ丼ではなく天丼。
 次に、取調べ中ではなくて、それが終わったあと。母子は当日無銭飲食でつかまり、父は置き引きの容疑で留置場に入れられた翌日のことです。子供はカレーライスを食べてはいるんですが、母と父はお金がなくてお腹ぺこぺこです。この後署長は当座の足しに、ということでお金まで渡します。
 映像でご確認ください。
 でも、容疑者に警察関係者が何か食わす映画はこれが元祖という気はあまりしない。

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