砂手紙のなりゆきブログ

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坂道の向こうにいつも図書館がある

 ぼくが子供のころから高校まで、10年ほど育った町は地方の中規模都市で、最近はどこもそうだと思いますが、いろいろなところが錆びついている町です。陸橋も、歩道橋も、昔の商店街のビルも、昔の公共施設も。
 中学時代は通学路の途中に、古すぎて誰も読まないような蔵書ばかりの市立の図書館がちょっとした丘の上にあって、小学校の時代も自転車で通っていたのですが、図書館の利用カードはなぜか小学生では作れないうえに、おとな向きの本は貸し出しもさせてくれなかったので(まあそういう時代です)、自転車を丘の下の駐輪場に置いて、せっせと坂道をのぼって、くだらない小学生向きの本を、児童室という物置みたいなところで読んでいたものでした(ここらへんは記憶の捏造があると思う)。
 中学生になってその図書館で最初に借りた本は『第三帝国の興亡』です。
 もちろんそれは大嘘で、岩波文庫の哲学書だったかな。確かひとり1回に5冊ぐらいまでだったので、なるべく軽い本を選んでその図書館への坂道を往復したものであります。もちろん図書館の貸出記録が、本の最後の折り返しのところにはさまっていた時代でありました。
 現在利用している図書館(のひとつ)も、やはり坂道の上にあるんだけど、もうそういう、坂道のぼったりくだったりするのやめようよ、と心の中で思う。